「南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎」展
サントリー美術館で開かれている「南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎」展いってきました。
南蛮屏風、なんか少しエグくて好きです。
でも単にエグいだけじゃなくって、日本人らしく超細密に描いているのが、なんともいえない、と。
狩野派が担ったらしく金屏風になっているのも、16世紀後半から17世紀初頭までという短期間にあだ花のように咲いた豪華な時代を感じさせます。
『重要文化財 泰西王侯騎馬図屏風』は屏風とともに、光学調査を行った研究成果も展示されていて、「きん」とか日本語でかかれて金箔をはるように指示している下紙なんかの文字も見えます。
それより、個人的に驚いたのが、聖フランシスコ・ザビエル像として、フツーに思いだす、あの図像が日本人によって描かれていた、ということ。
いまさら自分の無知には驚きませんが、なんとザヴィエルが列聖された1622年より後に礼拝画として制作されたと推定されるそうで、なんでも解説によれば、聖人になったことが日本にも伝わり、思わず作者不詳の画家が描いてしまったんだろう、とのこと。
聖人になったビッグウェーブに乗り遅れまいと弾圧されまくっている最中なのに描いてしまったというのが、いかにも日本人っぽいw
画自体も日本紙に、どろ絵の具とニワトリの卵の黄身を混ぜ合わせて着色をつけだそうで、キリシタン大名だった高山右近の旧領にあった現茨木市の千提寺東家の屋根裏のはりにくくりつけていた「あけずの櫃」の中に、大正時代まで隠されつづけてから発見されたとのことです。
この画、ずっと見慣れていたにもかかわらず、下の金字に描かれているのが「さんふらぬしすこさべりうすさからめんと」というのが万葉仮名だというのには気づきませんでしたね。
イエズス会の宣教師たちが、その美しさにひかれて日本の職人につくらせたという蒔絵の書見台、聖餅箱なんかも見事なもんでした。
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