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August 21, 2011

『日本のもと 神さま』

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『日本のもと 神さま』中沢新一監修、講談社

 日本語、憲法、政治、円、学校などの『日本のもと』シリーズは、さすが「面白くってためになる」講談社らしいつくり本ですね。

 中でも『日本のもと 神さま』は、中沢新一さんが様々な著作で繰り広げてきた論議が、そのまま子ども向けにわかりやすく書かれていて、ライターの入澤誠という人は優秀だな、と感じさせます。

 最初に登場する縄文時代のキャラクター「縄文さん」との対談の後、狩りの後で《傷口からドクドクと血を流し、死んでいく目の前のシカ。それを見て「やった!」という満足感と、「すまなかった…」という思い、そして飢えをしのげることへの「ありがとう」という気味がわいてきたら、それこそが「信心」のめばえです》(p.22)というのは分かりやすいまとめだと思いますし、最後の方に集中して出てくる「中沢さん」との対話にある《「信心」ってのは、さっきもいったように「なにか特別な存在を信じる心」をもつこと。それだけ》(p.100)という言葉にスムースにつながっていきます。さらに、Religionには大勢の人間を集めて盛り上がるという意味もあって、やっぱり日本の素朴な信心とは違う、と。

 そして、それはアメリカインディアンの「グイトスピリット」、南太平洋の島々に住む人々にとっての「マナ」のようなものであり、元はといえば、出アフリカした人類の祖先たちが考えていたものではないか、ということに結びつけられていきます(p.26-)。

 時代は下って弥生時代。自然をコントロールできるようになったと考えはじめた人々は、今でも日本の神社で最も多い「稲荷神」のルーツとなった田んぼの神さまをまつった祈る場所をつくりはじめます(p.35)。その後仏教が伝来しますが、弥生時代にもまだ残っていたアミニズムとはことなる全く新しいもので、なによりも「仏像」という形でビジュアルに見ることのできるものでした(p.47)。そして16世紀にはザビエルがやってきて、神道、仏教、キリスト教という日本における三大宗教が出そろいます。

 ポーンとあっさり書いてある「日本人とキリスト教の最初の出会いは、5世紀頃ともいわれ」というのは、なんなんでしょうかね。5世紀といえば、後半には倭王武(雄略)が宋に遣使を送ったんですが…ネストリウス派の中国への伝来は唐代貞観9年(635年)に宣教団が長安に到着したことから始まるといわれていますが、なんなんでしょうか…。ひょっとして秦氏がどうこうしたというトンデモ系の話を書こうとしたんでしょうか…。ま、いいけど。

 あと、キリスト教は最初、デウスを「大日」と訳したことで新しい仏教と誤解されて信者を得ますが、そこには、ザビエルがインド方面からやってきたせいでもあったというのには笑いました(p.71)。

 また、明治憲法に関しては「臣民タル義務ニ背ムカサル限リニ於イテ信教ノ自由ヲ有ス」という、ということもキッチリ書かれていたのは好感もてます(p.88)。

 とにかく、八百万の神を信じ、宗教対立などをなるべく興さないようにしてきたのは、ユーラシア大陸から追い出された負け組の祖先を持つ日本人ならではのことだったのかもしれません(p.126)。古いお寺は、古墳のあった場所につくられるようになっていった、と(p.139)。

 この本は、難しい漢字にはルビが振っていありますし、外国で日本文化などを教える教本としても、いいんじゃないかと思いました。

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