『大津波と原発』
『大津波と原発』内田樹、中沢新一、平川克美 、朝日新聞出版
面白かった指摘は、福島原発の事故で消防庁の放水が行われた後に、フランスの新聞が「これぞブリコラージュ」と書いてあったということや(p.17)、中国が200基ぐらい原発をつくろうとする中で「日本が今経験していることは、近い将来の中国に起こること」という指摘(p.42)。さらには原発反対派が原発は危険だからといって「それみたことか」という危機論は、北朝鮮の危機を言い立てている人間がテポドンを打ってくると嬉しそうにするのと同じロジックというあたりの話し(p.44)。
また、一番のハイライトは、日本人は「荒ぶる神」と遭遇すると、とりあえず既知のなにかくっつけてアマルガム(合金)にして「わりと恐ろしくないもの」に習合させてしまうというあたり(p.63)。福島第一原発の建屋には青空と雲がエコフレンドリーに描かれていましたが、一方、フランスなどでは原発を神殿のようなデザインにして聖域を意識させるそうです。さらにインドなどは、シヴァリンガに模したデザインということでした(写真のような切手にもなっています)。
レヴィ・ストロースが褒めた日本人の利用できるものは何でも使うというブリコラージュ(bricolage) の姿勢は、水漏れ対策にオムツなどにも使われる高分子プリマーや入浴剤を使うような姿勢を生み、習合する精神は「ノートルダム寺院の風にドラえもんを描いたみたいな」福島第一原発のフレンドリーなたたずまいを生んだんだと思います。《原発建屋に「でんこちゃん」とか、「ひこにゃん」とかの絵が描いてなかったのが、せめてもの救いでした》というのには笑わせてもらいました(p.107)。
ただ、まあ、ラジオ番組でのトークをそのまま収録して緊急出版した本なので、あまり深く突っ込まれないようにとも思っているんですが、中沢さんが《ぼくは「緑の党」みたいなのをつくろうと思う》というのは、「孫さんにお金を出してもらいましょう」あたりを含めてあまり内容もなさそうだし、ちょっと心配です。
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