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May 22, 2011

『安藤忠雄 住宅』

Ando_house

『安藤忠雄 住宅』安藤忠雄、ADAエディタトーキョー

 個人的に、純粋に楽しむ読書のジャンルのひとつとして建築があります。あとはカメラ、映画といったところでしょうか。それは子供のころになりたかった職業に関係しているのもしれません。子供の頃は方眼紙をひきよせて、理想の家を何枚も飽きずに描いたものでした。

 ということで、六本木ABCで1ヵ月ぐらい前に見つけたこの本は、少し忙しさが和らいだら、土日にかけて読もう、と思って取っておいた本です。

 安藤さんに、できたら自宅を設計してもらいたいぐらいですが、この本の施主も書いているように、安藤事務所が個人宅を建ててくれるのは、基本的に関西地区に限られているようなので諦めていますし(p.220)、それより、こうした本で安藤さんの作品に触れることができるだけで幸せなわけで、仕方ないかな、と。

 文化勲章受章建築家が個人宅を設計することは基本的にないと思いますが、安藤さんは事務所の若手に、施主との交渉から現地視察、設計、施工から仕上げまですべての段階を経験させることで一人前にするという考え方があるようで、明らかにできないものも含めて170~200の建築を手がけているそうです。

 《ライト、コルビュジエのような偉大な建築家もスタートは住宅に始まり、その結節点で再び住宅に立ち戻っている。これはやはり、人間という存在、その生活にもっとも近い住宅こそが建築の原点であり、その本質に迫る最も有効な手段であるからだろう》という観察は、建設家の間では当たり前なのかもしれませんが、素晴らしいと感じました(p.16)。

 また、安藤さんがこだわるコンクリートについても素晴らしい文章に出会いました。《鉄筋コンクリート構造は、鉄とコンクリートの熱膨張が等しく、その主成分であるセメントが、鉄の酸化を抑制するアルカリ性であるという、幸運な偶然によって、圧縮に強いコンクリートと引っ張りに強い鉄、双方の利点を明かせる画期的な技術です(中略、しかし)大気中の二酸化炭素に触れているうちに、表面からコンクリートのアルカリ性が失われていく「中性化」という現象によって、徐々に風化していってしまうのです》(p.80-)。

 コンクリートは生き物のように白い液体(コンクリートの白樺)を出し、メンテナンスを要求するというのも含めて、素晴らしいな、と(p.206)。

 そうした住宅の一覧が132頁から195頁まで間取、外観写真などでまとめられています。

 こうなるともう詩集ですね。枕元には詩集を置いているのですが、もうひとつ、建築関係の好きな本も置いています。もちろん、この本も枕頭の一冊に決定。

 ライトが戦前の神戸を見て「アリゾナのようだ」と言っていたというエピソードには驚きました。当時、樹木はほとんど伐採され、六甲山はハゲ山だったそうです。植林は1902年に始まって、今に至っているそうです(p.116-)。

 最後の写真はボノと一緒にファイテングポーズを撮る安藤さん。なんと、ボノの家もつくるそうで、完成が楽しみです。

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