« 「酸辣家」の皮蛋(ピータン) | Main | 『初期マルクスを読む』 »

April 21, 2011

『災害がほんとうに襲ったとき』

Nakai_saigai

『災害がほんとうに襲ったとき』中井久夫、みすず書房

 1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の直後、3月に刊行された『1995年1月・神戸 「阪神大震災」下の精神科医たち』から、その編者であった中井久夫先生が書かれた「災害がほんとうに襲った時」を再編集して刊行したのが、この本。

 本として出版する前に、みすず書房のホームページではテキストデータが公開された、というのも記憶に新しいところです。

 「有効なことをなしえたものは、すべて、自分でその時点で最良と思う行動を自己の責任において行ったものであった。指示を待った者は何ごともなしえなかった。統制、調整、一元化を要求した者は現場の足をしばしば引っ張った」というあたりが特に印象に残っています。
 
 これとも関係するんですが、面白いなと思ったのが、日本人のリーダーシップのあり方。

 ドイツの精神医学全書の「捕虜の精神医学」の項に、シベリアにおけるドイツ軍捕虜に比して日本軍捕虜を恥ずかしくなるほど称えた文献の引用があるんだそうです。

 いわく、ソ連軍が日本軍捕虜の指揮官を拘引するとただちに次のリーダーが現れた、と。彼を拘引すると次が。将校全員を拘引すると下士官、兵がリーダーとなった、と。こうして日本軍においてはついに組織が崩壊することがなかったがドイツ軍は指揮官を失うと組織は崩壊した、と。

 「日本の組織は軍でなくとも、たとえば私の医局でも私がいない時は誰、その次は誰と代行の順序がわざわざいわなくとも決まっている。これは日本の組織の有機性という大きなすぐれた特徴であると思う」とまとめていますが、今回の東日本大震災でも、各地でこうしたリーダーが活躍しているんじゃないかと思っています。

|

« 「酸辣家」の皮蛋(ピータン) | Main | 『初期マルクスを読む』 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/51452665

Listed below are links to weblogs that reference 『災害がほんとうに襲ったとき』:

« 「酸辣家」の皮蛋(ピータン) | Main | 『初期マルクスを読む』 »