« 『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#1 | Main | 『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#3 »

February 05, 2011

『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#2

Dohoukouro

 改めてそうだったのか、と思ったのは、日本の敗戦後、重慶に駐在していた周恩来は延安の中共本部に「内戦に反対し平和を求めるというのが、当面、最も人心を得るスローガンである」と報告していたことでした(p.4)。一方、国民党は政権運営の主導権を獲ろうとしますが、1946年に各階層が集まった政治協商会議では、一党独裁を廃する方向が強く打ち出されます。結局、国民党への批判を強めていたジャーナリストが7月に相次いで国民党の秘密機関によってて暗殺されるなどして、11月には一方的に国民党が中華民国憲法を制定、翌年には発布されます。

 しかし、国民党がこの後、本格的に政治的な孤立を深めるのは財政経済政策の失敗を通じてでした。中国は外国からの資金援助や日本から接収した資産を元にブレトンウッズ体制へ積極的に参加するという開放政策をとりますが、これがアメリカからの輸入ばかりを招ことになります(p.12-)。さらに国内の通貨統一でも、沿海部の日本占領地域の銀行券を重慶政府の元より安く交換したため、沿海地域では物価が15倍になるほどインフレが進展し、内陸部の製品は販路を失うという事態になり(p.14-)、日本の復興を手助けしようとしているとしてアメリカに対しても女子学生に対する暴行事件から中国民衆の不満が高まります(p.22)。

 この後は、国民党軍が溶けて、中共が全土を支配するわけですが、当時の中共支配地域での土地改革は行き過ぎて農民の支持を失ったたところもあり、必ずしも、その意味は大きいものでなかったというのは初めて知りました(p.27)。それよりも人心を掴んだのは婚姻法施行によって、多額の準備金を用意できない貧しい男性も結婚できるようになったことだ、みたいな話もなるほどな、と(p.48)。

 いろいろあったによせ、国民党が発布した47年憲法は、民有民治民享(人民の人民による人民のための)民主主義をうたっており、大陸で施行されたのは49年までと短いにもかわらず、今後、大きな意味を持つかもしれない、と著者はかなり強調しています(p.25)。

 この後、中共には朝鮮戦争という新たな試練が待ち受けます。仁川上陸作戦からの北朝鮮軍の敗走を受け、ソ連空軍に、東北部の防衛協力を取り付けた後、義勇軍と名乗った中国軍は鴨緑江を渡河しアメリカ軍と対峙します。

 朝鮮戦争よって中国は面目を保つことになりますが(ハルバースタムの『ザ・コールデスト・ウインター』ではありませんが、ポジティブな成果は、それまで100年間にわたり諸外国から嘗められていた中国とは違って、少なくとも侵入者は必ず撃つぞというメッセージは伝達できましたから)、重い財政的負担、経済封鎖による打撃を受け、日本や米国などからの援助を受けて経済再建するという道筋を絶たれ、ソ連型経済政策への傾斜を強めることになります(p.62)。

 こうして始まったのが1951年からの三反運動。これは汚職、浪費、官僚主義の摘発運動ですが、これによって国民党時代からの経済財政官僚や工場主などが打撃をうけます(p.65)。そして1954年には社会主義政策が正式に採用されることになります。

 せっかく社会主義路線を採った中共ですが、なんと1956年にはスターリン批判とハンガリー動乱が待ち受けていました。社会主義に対する信頼の揺らぎを感じた中共は64年5月から自由な議論を奨励する「百家争鳴」を呼びかけます。しかし、予想を上回る批判の広がりにあわてた中共は57年、反右派闘争に舵をきります。

 この頃、台湾はアメリカ政府の支えもあって、日本とともに経済発展の道を辿ります。中共がAA外交みたいな実りのない戦術で対抗せざるを得なかったことや、大躍進の無残な失敗も含めて、中共幹部たちの政権運営は、いろいろあったにせよ厳しかったろうな、と同情してしまうほど。しかし、土法高炉で鉄鋼を生産しようとするなんて無謀なことをよく、考えついて、しかも実行し、さらにはフィードバックも無視してやり続けたもんです。

 クズ鉄しか出来なかった土法高炉に象徴されるように、大躍進によって少なくとも2000万人が飢餓や栄養失調で死亡したほか、チベットでの叛乱なども起きます。こうした中、いったんは国家主席を劉少奇に譲った毛沢東ですが、朝鮮戦争の英雄でもあった「人民の将軍」彭徳懐を失脚させます。いやー、まさに怪物ですな。毛沢東という人物は…。

|

« 『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#1 | Main | 『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#3 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/50784402

Listed below are links to weblogs that reference 『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#2:

« 『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#1 | Main | 『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#3 »