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February 04, 2011

『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』#1

Chinese_modern_history

『シリーズ中国近現代史4 社会主義への挑戦 1945-1971』久保亨、岩波新書

 いやー、相変わらず〈シリーズ中国近現代史〉は絶好調です。

 70年代にも入るこの頃になると、物心もついてますから、感慨もひとしお。

 個人的な不可思議さを書きますと、ぼくが最初に認識した中国の国家主席は劉少奇でした。事実上のナンバー2とはいえ、子供心に国家主席と聞かされた日には、劉少奇が中国の代表者であると考えましたし、風貌も毛沢東より随分、好ましく感じられました。

 といいますか、自分のお祖父さんとして誰がいいと聞かれたら、歴代の中共指導者で選ぶならば、劉少奇、周恩来が双璧でしょう。毛沢東は不気味すぎだし、軍閥出身者たちは薄気味悪いし、鄧小平は貧弱すぎるし。

 個人的な話はやめにして、このシリーズが、もし20年前に企画されたならば、おそらく毛沢東だけで2分冊は占められていたと思います。それは日本を破った1945年から1965年の文革開始までの20年間と、文革の混乱と1976年の自身の死までの10年間になると思います。でも、いまや、後半の10年は、自身の健康問題もあるにせよ、鄧小平に譲ることとなります。

 このシリーズ4で、なるほどな、と思ったのは、シリーズ3から続く問題意識なんですが、中共幹部には、社会主義社会に対する括弧とした共通のイメージがなかったというんですよ。まあ、それはボルシェビキもそうでしょうが、社会主義は「遠い将来の話」(毛沢東)だと思っていたわけです(はじめにiii)。

 そのため

ある時期に掲げられた社会主義化政策が期待どおりの成果をあげなかった場合、別の社会主義化政策が提起され大きな政策転換を迫られることになる

 という事態がほぼ四半世紀続いたわけです。

 この間、朝鮮戦争への義勇軍の出兵で巨大な財政負担を負い、それを挽回しようとして無謀な大躍進政策を実施し、それが失敗しても、さらに極左的な方向に向おうとする政治のダイナミズムといいますか、いざという時には威勢のいい方針をブチ上げた方が会議の主導権を握れるといいますか、毛沢東が死ぬまで、そうした傾向が続くわけです。

 とにかく、また、何回かに分けて書いていきますがこの『シリーズ中国近現代史』は素晴らしいですね。

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