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January 30, 2011

アジアカップは原博実氏の勝利である

Hiromi_japan_wide

 一応、サッカーとタイトルにあげていますんで、久々に書かせてください。

 アジアカップでの見事な日本代表の勝利は、本当に感動しました。2000年の時も強いとは思いましたが、アジア諸国のレベルとの相対関係の中で気づいたら攻撃力が抜きんでてしまっていたということであり(もちろん東南アジアの国々とやって苦戦していた時代からすれば凄いことでしたが)、2004年は神がかり的な精神力の強さが目立って、これがずっと続くのかという不安も感じました。

 それからすると、今回のサッカー日本代表の強さは芯が入ったというか、攻撃力や精神力など、ある要素の強さが突出して感じられるような性質ではなく、全体的に弱点が少ないというか、なんとなく打たれ強くて、どうにも負けそうにない、というような本格的な強さだったように感じます。吉本隆明さんが書いていた、日本のボクサーは昔、カミソリパンチの海老原博幸さんのように素晴らしい攻撃力はあったけど、アッサリ負けていた、と。しかし、そこを克服して打たれ強い選手が出始めたあたりから、本格的に強くなっていった、というような内容の文章を個人的には思い出しました。

 決勝ラウンドに進んでからの開催国カタール相手の戦いで、後半にCB退場で与えたFKでリードされるという最悪のパターンにも関わらず、岩政を入れて守備を固めて、10分もしないうちに逆転。さらに延長は避けたい中で、44分にサイドバックの伊野波が上がってゴールという理想的な決勝トーナメント初戦でした。結果論かもしれませんが日程的に休みが1日少ない上に、延長戦までもつれ込んだことが、韓国とオーストラリアにとって、最後に響いたのかもしれません。

 とにかくカタール戦の勝利は、ずっとオリンピックやワールドカップ予選で「中東の壁」と言われ続けていた頃、最後には中東のカウンターで敗れ続けていた時に感じた「このまま日本はずっと中東には勝てないんじゃないか」というような絶望感を逆に相手に与えるような存在に日本代表がなったのかな、と感じました。これまでとは真逆。

 これまでは全く違ってしまった、と感じたのは、監督の采配が妙に「分かりやすい」といいますか、ひとひねりしているのがお茶の間にも伝わってくるといいますか、テレビで見ているサッカーファンを「なるほどね」と唸らせて、サッカーに対する理解を一段と深めてくれるような選手交代をしてくれたこと。

 決勝戦で今野がどうしてもヘディングで競り負けるということで、岩政を入れて吉田との高いCBコンビで相手のロングボールを封じるというような作戦は、テレビの解説者を通じて多くの視聴者に納得的に伝わったのではないでしょうか。

 また、最終的には韓国の驚異的な粘りで同点にされましたが、韓国戦で伊野波を入れて5バックとして、ボールを持ったらキープに徹するという作戦も、よく意図が伝わったと思います。

 決勝トーナメントは全て視聴率20%を超していたと思いますが、こうしたサッカーの勘所を、試合を見ていた普段はJリーグなど見たことないような方に伝えられたということは、日本サッカー界にとって、とてつもなく大きな成果だったと思います。

 しかも、それが全て守備的なところから入っているというのが素晴らしい。

 ちょっと前までは「司令塔」という言葉でサッカーが語られていました。それが「ストライカー不在論」ぐらいになって、日本代表の人気もどんどん落ちて、Jリーグも伸び悩みという情況が続いた所で、岡田監督の勝負に対するリアルさだけを追求した0トップのような布陣と本田の責任感などが生み出したまさかのベスト16という結果で底を打った日本代表ですが、そこで、ザッケローニのようなたまたま運が悪くて燻っていたような素晴らしい超本格的な監督を招聘することができて、モノゴトが好転する時っていのうは、こういうのかな、と思ったりします。

 嫌いな方も多いでしょうが、高校野球の解説で語られているのは、多くは守備の大切さです。そこがベースになっているということを、毎年、春と夏、ずっと2ヶ月間も聞かされているから、日本の野球のレベルはとてつもなく高いんだと思います。今回のザッケローニの采配と、テレビを通しての解説が、サッカーでもそうした感じになっていくキッカケになればな、と個人的には思います。

 えー、そして、ずっと言わなかったことだけど、この際、言います。

 ザッケローニを呼んできたのは、日本サッカー協会の原博実技術委員長といいますか、ヒロミです。

 ぼくはアジア杯勝利に酔いしれるとともに、FC東京がどんな宝物を手放してしまったのか、といいますか、どんなに素晴らしい宝物を自らポイと屑籠に捨てるかのように扱ったのか、と改めて呆然としていました。

 ヒロミはレッズ時代も、親会社の財政が厳しいことからロクに選手を強化できないまま更迭されました。そして、レッズはJ2に落ちました。

 FC東京もほとんど思いつきのような強化か、予算がなくってほとんど強化なしというようなことを続けて、ヒロミを二度も更迭しました。そしてJ2に落ちました。

 JFAという組織で、しっかりとバックアップされれば、最強のGMのような仕事をする男なんですよ、ヒロミは。

 人も組織も、失って初めてその価値がわかるのかもしれません。それにしても、と思います。FC東京のフロントは何てことをやったのか、と。しかも、今野、長友、伊野波は全てヒロミが育てたといっても過言ではない選手です。

 「武藤文雄のサッカー講釈」のラストで「これは原博実氏の勝利である」と書かれていることに触発されて書いてしまいました。

 以上です。不愉快に思われる方もあるかと思いますが、アジア杯優勝に免じてお許しください(写真はウルグアイ戦で指揮をとった時のものです)。

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