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January 01, 2011

『小説フランス革命IV 議会の迷走』

French_revolution_4

『小説フランス革命IV 議会の迷走』佐藤賢一、集英社

 お正月なんで、堅苦しくなく小説で。

 とりあえず『小説フランス革命』は4巻までお付き合いしました。

 期待したサンジュストの活躍もなく、利害対立の中で、動かない議会での論議と、その中心人物だった、ミラボーの死が描かれます。

 途中、憲法制定国民議会の外交委員を務めるタレイランと、ほぼ首相並の影響力を持つまでに至ったミラボーが、それぞれスペインとロシア、イギリスとプロイセンから賄賂をもらうという場面があって、当時、ロシアはオスマントルコに攻め入りたかったけど、イギリスにバルト海に船を出されると困るから、そんな場合はフランス艦隊が演習でもしてくれると助かる、みたいな話は事実かどうかわからないのですが、面白かったかな。

 4巻は聖職者民事基本法(Constitution civile du clerge 聖職者は他の官吏と同じ公務員にするという法律)の成立と対立が中心となります。この法律は教皇ピウス6世の承認を得ておらず、宣誓聖職者と宣誓拒否聖職者の二派に分かれてシスマ(教会分裂)が起こります。いまでは、信じられないほどの影響力ですが、宣誓拒否聖職者は反革命の中心となって、後にヴァンデの反乱も起こします。

 なんか、今の中共とバチカンみたいな感じですね。しかし、今のバチカンには武力も含めた唯物論的な対抗手段を持たない強さがあると思います。いくら中共が非難をしても聞く耳は持ちませんし、ずっと、中共に対する批判は続けていき、その重苦しさを中共は感じ続けていくという。中共も、もてあまし気味なのが笑えます。とにかずっと許さないと思いますので、同じように長い歴史を持つ中国でも、そのしつこさには参っているだろうな、と。

 ま、とにかく、こうした中タレイランは元々財産で買ったものだということで、司教座を手放します。当時の司教なんていうのはカネで売買され、女犯もし放題。いやー、改めて思うのですが、カトリックが、今みたいに(昔と比べればまだ)マシになったのって、ここ100年ぐらいなのかもしれませんね。

 死の床についたミラボーがロベスピエールを呼んで、同じピカルディ出身のカルヴァンのように専制政治を敷かないようにと忠告する場面は印象的。

 いやーも、カルヴァンが神権政治を敷いていたジュネーブは、個人的にも歴史上住みたくない街のワーストスリーぐらいに入るのですが、専制政治で住民を恐怖に陥れたロベスピエールもカルヴァンも、フランス北部のピカルディ出身者というのは知りませんでした。

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