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January 08, 2011

『シリーズ中国近現代史2 近代国家への模索 1894-1925』#4

『シリーズ中国近現代史2 近代国家への模索 1894-1925』川島真、岩波新書

1912年に南京に中華民国臨時政府が成立すると、北京では宣統帝が退位し、袁世凱が臨時大統領に就任します。ここらあたりから、中国の歴史は、さらに暗さを増す印象ですかね。もちろん「明るさは滅びの姿であらうか。人も家も、暗いうちはまだ 滅亡せぬ」(『右大臣実朝』by太宰治)ということなのか、これからほぼ40年近く、内戦を含めたハデな戦争の季節となります。

 意外と思ったのが袁世凱の暗さ。この頃、国民党は共和制推進派の宋教仁が首班でしたが、13年の国会議員選挙で勝利した宋を上海で暗殺、有利に議会運営を進めようとするんですわ(p.148-)。

 そして翌14年には第一次世界大戦が勃発。よくまあ、いろんなことが起きると思いますが、日本は素早くドイツに参戦。機を見るに敏な日本は2ヵ月の戦闘を経て、青島のドイツ要塞を11月に占領します。そして、中国に対して21ヵ条要求をぶつける、と。

 それまで、日露戦争での協力など良好な面もあった日中関係は、ここに大きな転換期を迎えることになります。

 一方、21ヵ条を受託したことで国内から非難を受けた袁世凱は、なんと14年には自ら皇帝となることで、批判を押さえつけようとしますが、かえって地方は反発を強め、16年には10省が独立を宣言。北洋軍閥に支えられていた袁世凱も、10省が独立を宣言した直後に死去するという、なんつうか神話的な状況になっていきます。段祺瑞がやがて基盤を受け継ぎますが、宣統帝が17年に12日間だけ復位したり、さらに混迷は深まります。内紛に軍事的に勝利した段祺瑞は、ここぞとばかりに第一次世界大戦に参戦。シベリア出兵に加わるなどして実績を積みます。

 まあ、ここら辺の歴史を振り返ると、今の民主党政権のゴタゴタなんか可愛く見える感じですよねぇ…。

 また、義和団事件で殺されたケテラー記念碑を第一次大戦勝利の記念碑に造りかえたあたりは、大国・中国らしからぬ振る舞いだと感じました。まあ、50年あまりやられっぱなしだったんですから、こうした大国らしからぬ感情の発露もしょうがないかもしれませんけどね(p.171)。

 とにかく、こうした高揚した気分で1919年開かれたパリ会議に中国は戦勝国として参加します。しかし、与えられた議席数は一等から四等までの分類のうち、三等(日本はもちろん五大国として一等)。さらに国際連盟への参加条件として、山東半島を日本に譲渡するよう求められます。

 これに反発して中国国内で起こったのが五・四運動ですが、日露戦争後の日比谷焼打と似たような感情の爆発だったんでしょうね(五・四運動は日本製品ボイコットの嚆矢でもありますね)。結局、中国の全権は、オーストリアとのサン・ジェルマン条約に調印すれば国際連盟に加盟できるという方法を見つけ、ヴェルサイユ条約の調印は拒否します(p.182-186)。

 パリ講和条約は、ソ連が参加しなかったことや、アメリカも国際連盟に加盟しないことなどにより、大きな課題が先送りされます。このため、日米英は1921年からワシントンで軍縮条約を含む、国際会議を開きます。中国も100名を越える大デレゲーションで参加しますが、ここでも山東問題は解決できせんでした。1923年に起きた関東大震災に対しては、中国から支援も提唱されますが、東京の江東区大島町と神奈川県足柄で数百人の浙江省出身の華工が虐殺され、それを調査しようとした中学組織のリーダー王希天が警察で殺害されたことにより、さらに日中間の関係は悪化します。

 こうした中、新たなプレーヤーとして登場するのがソ連。亡命政府首班みたいな状態にもなった孫文も広州に戻ると、ワシントン体制外にあったソ連とドイツに接近しようとします(p.211)。しかし、25年には「革命なお未だ成功せず」という遺書を残して死去。

 一方、税収不足などから機能不全に陥っていた北京政府は張作霖の台頭を許し、26年には実権を握ります。というあたりまでが、この本の範囲。

 いやー、にしても、すごい歴史ですな…。

 ということで、『シリーズ中国近現代史2 近代国家への模索 1894-1925』を終わります。

 すでに3巻「革命とナショナリズム1925-1945」は出たので、4巻の「社会主義への挑戦1945-1971」が楽しみです。

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