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August 02, 2010

『絵で見る十字軍物語』

Crusaiders

『絵で見る十字軍物語』塩野七生、新潮社

 『ローマ人の物語』を完結させ、08~09年刊の『ローマ亡き後の地中海世界(上下)』でレパント海戦に至るまでといいますか、『ローマ人の物語』と『海の都の物語』の空白期間を地中海側から埋めた塩野先生。

 今回は陸側から埋めるという意図か、なんと十字軍3部作を書かれるそうです。

 十字軍と言われても、極東に住むぼくなんかには「世紀の愚挙」「壮大なゼロ」ぐらいの感想しかないのですが、西欧の旧家では十字軍に参加したことのない先祖をもたない家はないほどの規模だったそうです。

 そういう言い方をされると「さすがに中東で、今でも青い目をした子どもが生まれると十字軍の名残とか言われるぐらいのことはあるわな」と改めて思うほど。

 ものすごい規模だったんでしょうねぇ。

Gustave_dore_crusades_richard_and_s

 世界史で習った範囲では英雄同士の戦いとなった第3回、なんと東ローマ帝国を攻めたハチャメチャな第4回ぐらいしか覚えていないんですが、なにせ第9回まで延々と続けられたわけですからねぇ。

 十字軍なんかには縁なき衆生である小生などが、疎いのもしょうがないですか。

 なかなか十字軍を出さないために教皇から破門されたフリードリヒ2世が、巧みな交渉術でエルサレムの統治権を回復した第6回などは、なんと破門されたままの遠征だったために、ほとんど無かったことにされていたそうですし。

 この破門十字軍の後、イタリアにとって返したフリードリヒ2世は教皇軍を撃破、破門が解かれますが、なんつうか教皇が自らの権威を堕としまくったような結果になります。

Saladin

 1096-1272まで200年近く、ほぼ20年に1回の割合で遠征を繰り返していたんですから、イスラムにとっては「しつこいな」という感じだったんでしょうな。

 まあ、とにかく、塩野先生は3年かけて十字軍を描く前に、馴染みの薄い極東の人びと向けに、『十字軍の歴史』というミショーの本に添えられたギュスターヴ・ドレの挿絵を中心に、退屈しないように、見開きでその歴史をサクッと解説してくれたのがこの『絵で見る十字軍物語』。

 3部作の序曲という感じでしょうか。

 塩野さんも書いてますが、イスラムに遠慮しがちな現代史の書き手よりもミショーは公平といえるかもしれないし、ドレの挿絵を見ても残忍な獅子心王リチャード1世は鉄仮面を被ったままの姿しか描いていませんし(まるで、ダース・ベイダー)、逆にサラディンは本当に美しく、気高く描かれています。

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