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August 03, 2010

『小沢一郎 50の謎を解く』

Ozawa50

『小沢一郎 50の謎を解く』後藤謙治、文春新書

 元共同通信で、TBSのNEWS23でキャスターをつとめていた後藤謙治さんがテレビでフリップを使って説明するように政権交代後の民主党と小沢前幹事長の作風を解説した本。

 大項目は「金庫のある部屋」「数の論理」「猜疑心」「豹変」「憎しみと愛」で、それぞれ金脈、民主党内での派閥づくり、秘書や側近による忖度政治、外交や国内政治勢力との関係、田中派時代からの抗争の歴史を描いています。

 驚くのは小鳩のダブル辞任まで描いていること。いやー、随分、執筆から刊行までの時間が短くなりましたね。

 わりと知られているエピソードが多かったですが、それでも、竹下元首相の遺産は2億1000万円しかなく、カネ配りに徹していたことがわかる、というあたりは知りませんでした(p.31)。何回か書きましたが、竹下さんの母親は学生時代に福本イズムの福本和夫に教わっており、本人も左翼的といいますか草の根大衆主義的な心情の持ち主だったと思うので「政治献金は汗水たらして得た金じゃないから、蓄財に回したらいかんわなぁ」という言葉はなかなか含蓄があります。

 竹下語録では「人くれ、カネくれ、ポストくれ。それがだめならクルマくれ」というのも味わい深い(p.71)。

 自由党が民主党に合流する際、羽田孜が鳩山側近の樽床現国対委員長にアドバイスしたというのは知りませんでした(p.42)。

 また、09年の総選挙で当選した143人の小沢チルドレンの数は、自民党の当選者よりも多く、田中派が最大派閥だった頃よりも多いというのは凄いな、と。

 元連合会長の山岸との蜜月は、細川連立政権発足後3日目に終わったというのも知らなかったな(p.88)。


 小沢氏には「一番、遠い人と結べ」という史記・遠交近攻に似た発想があると筆者は書いていますが、そうなると、ねじれ国会を乗り切るためのパートナーはどこになるんでしょうか。

 また、後継者を育ててこなかったという小沢氏ですが、かろうじて可能性があるのは細野豪志代議士だと書いています。しかし同時に、後継者と目されたとたんに周囲で必ず騒ぎが起きるに違いないという推測もなるほどな、と(p.153)。

 新人候補は地元の民放キャスター、アナウンサーから発掘するのも小沢氏流の選挙戦術というあたりも、言われてみれば…という感じです(p.230)

 ロンドン行きは個室カジノでストレスを解消するためだ、というのは、野中広務さんも文藝春秋で書いていましたが、本当なんすかね。

1 金庫のある部屋(電撃辞任の内幕と政界大再編「シナリオ」、検察との「最終戦争」はどうなる? ほか)
2 数の論理(「勝利の方程式」の手がかり、「チルドレン膨張」に潜む野望とは? ほか)
3 猜疑心(側近はなぜ切られるのか?、官邸を震撼させる「飛び込み」 ほか)
4 豹変(アメリカ嫌いは本当か?、中国接近に展望はあるか? ほか)
5 憎しみと愛(田中角栄を超えたか?、竹下元首相を「竹さん」呼ばわり ほか)

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