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July 24, 2010

『龍馬がゆく』『龍馬伝説の虚実』龍馬くん人形

Ryomakun

 いやー、こんなに暑くては、なんも生産的なことはできませんな。

 ということで『龍馬がゆく』をん十年ぶりで再読しました。

 あまりマンガは読まないので、その代わり、みたいな感じで。

 まあ、よく言われていることですが、神戸海軍塾が閉鎖されて長崎に根拠地を移したあたりからの活躍はすごいもんですね。

 薩長同盟をとりもち、私設軍艦で第二次長州征伐にやってきた幕府軍を打ち破り、大政奉還までお膳立てして、あっという間にこの世を去ってしまう。

 大河ドラマの『龍馬伝』も虚実とりまぜてやりたい放題に盛り上げているし、まあ、司馬遼さんにうまくプレゼンされた龍馬像を日本人は好きですな。

 なんてことを考えていたら、榊原英資さんが朝日新聞出版から『龍馬伝説の虚実 勝者が書いた維新の歴史』という本を出しました。

 パラパラと立ち読みしたんですが、榊原さんによると、司馬遼がネタに使った坂崎紫瀾による土陽新聞の連載を元にした本はフィクションが多く、背中に毛が生えているのを気にしていたとか、オネショの癖が抜けなかったとかという話も、かなり眉唾らしいんですわ。

 千葉さなとの恋や、寺田屋で襲われた時におりょうが裸のまま知らせたというのも創作らしい、とのこと。

 まあ、そんなことだけでなく、榊原さんは明治という国家は薩長の専制的政治だとも断罪しています。

 坂崎紫瀾の連載は明治16年(1883年)に始まりますが、これも含めて、戦前に3回、維新後しばらく忘れられた存在だった龍馬がリバイバルしたそうです。

 そして、龍馬が国民のヒーローとなったのは『龍馬がゆく』ですが、もう少し、冷静に見つめる目も必要かな、と。

 でも、かくいう自分も、大好きなんですがね。

 特に龍馬くん人形の言葉とかw

 1.小さな事にこだわってちゃいかんぜよ!
 2.くよくよしてちゃいかんぜよ!
 3.心はいつも太平洋ぜよ!
 4.でっかい夢を持たなきゃいかんぜよ!

 あと、忘れていたな、と思ったのが、無人島だと思っていた竹島を岩崎弥太郎が探検してみると、朝鮮の漁民たちが海獣を獲りにやってきたのを発見してガックリというあたり。ここらへんは触れられていないなと思ったので、少し長いけど、引用しておきますw

 弥太郎は、帳付けに明け暮れしているいまの職にあきあきしたのか、ことしの春、藩の汽船に命じ、狂気のような航海に乗り出したことがある。
 「無人島を占領するのだ」
 というのであった。この風聞を京にいた竜馬がきいて噴き出した。
 目標は、日本海にうかぶ孤島竹島である。弥太郎が大まじめであった証拠に、
「大日本土州藩の命を奉じ、岩崎弥太郎この島を発見す」
 という標柱も積みこんで行った。付き従っていたのは下僚の山崎昇六である。
 岩崎は、竹島がどの国にも属せぬ無人島であることを長崎の白楽という朝鮮人からきいた。そのうえ樹木が豊富にあるというので、伐採夫まで乗せて行った。おそるべき行動力といっていい。
 ところが竹島に上陸してみると、どうも様子がちがう。
 弥太郎は、竹島の海浜に立ち、四方をうかがってみると、どうも人が居るらしい。
(無人島ではなかったのか)
 こういう場合、弥太郎の性格として失望よりも腹立ちを覚えるたちで、住んでいる者こそ不埒だと思った。
 浜辺に毛氈を敷き、その上で食事をしはじめると、やがて十数人の半裸の男があらわれ、弥太郎らを取りかこんで物珍しげに見物した。
 「この島はなんという名か」
 と弥太郎が紙に書いてかれらに渡すと、かれらのうちの長老らしい白衣の老人が、
 「大韓鬱陵島也」
 と書いて返した。どの男も朝鮮人であるらしい。さらに弥太郎は筆談していよいよ失望した。
朝鮮人たちは定住しているのではないが、海獣を獲りにやってくるのだという。
 弥太郎は腹が立ち、
「わしは大日本土佐国の武士岩崎弥太郎という者だ。きょうからは貴様らも土佐藩の土民になったゆえよろこべ」
 と喋りながらそれを文章にし、老人に渡した。老人は何をいっているという面つきで返事もしなかった。
 弥太郎は、菓子を与えた。するとみなよろこんで食った。老人はもっとよこせというように掌を出した。
 そのあと山のほうに分け入ってみると、材木になるような樹木もなく、垂木というろくでもない雑木がわずかに生えているだけだったので、弥太郎は忿懣のやりばにいよいよこまった。
 たまたま、山間に小屋がある。入ってみると人はおらず、大鍋の下に火が燃えている。鍋のなかに獺の死骸が入っていることをみると、丸煮をして皮をとるつもりらしい。
 「火を掛けろ」
 突如、弥太郎はいった。下僚の山崎昇六がおどろき、反対した。それでは朝鮮人たちが可哀そうではないか、というのである。が、弥太郎はかぶりを振った。
 「痛快だ」
 というだけが理由だった。山崎がさらにとめたが、他の者がわら屋根に火をかけてしまった。
小屋は白煙をあげて燃えはじめた。
 「逃げるんじゃ」
 弥太郎はまっさきに山を駆け降りた。そのあと出帆してしまっている。
 長崎に帰ってから、弥太郎は、朝鮮では牛皮が廉いことをきいた。
 -その牛皮で靴を作ろう。
 と弥太郎は思いたち、こんどは英国船をやとい入れて朝鮮へ出発した。が、朝鮮はそのころ大院君の極端な鎖国主義で統制されていたため沿岸に近づくこともできず、砲撃さえ受けたので早早に長崎に帰ってきた。
 弥太郎の場合、そういう冒険的な企業のほか、日常業務は何ごとも興味がないらしい。まして藩の長崎金庫の金をせびることと、こんどのような紛争をおこすだけの海援隊など、会計をにぎる弥太郎にとっては厄介なだけの存在である。

『竜馬がゆく』文春文庫、司馬遼太郎、第8巻、p.212-

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