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July 14, 2010

『ハックルベリ・フィンの冒険』

Huckleberry_finn

『ハックルベリ・フィンの冒険』マーク・トウェイン、大久保博(訳)、角川文庫

 実は(というほどのこともないのですが)、これまで読んできた本の中で、最も好きなものは『トム・ソーヤーの冒険』です。

 小学校の時にジュブナイル版で読み、中学生ぐらいに文庫本で読み、その後も何回か読み直しましたが、その都度、期待は裏切られませんでした。

 では、なぜ、同じ作者の『ハックルベリ・フィンの冒険』を読まなかったかというと、なんか辛いことがあった時のためにとっておいたんです。でも、ま、最近「そんなことがあったとしても、まあ、読み直せばいいし」と思いたち、角川のトウェイン完訳コレクションを手に取りました。

 いやー、よかったな…。

 窮屈なプロテスタンティズムに"汚染"されているとしか思えない19世紀アメリカの片田舎、しかしそこから一歩でれば自由な川や平原がある、みたいな。

 この小説はハックが逃亡奴隷ジムを連れてミシシッピ川を筏で下って"自由州"を目指すロードムービーみたいな体裁をとっていますが、本当に逃避しなければならないのは、内面の自由をすでに獲得しているジムではなく、快楽を戒めるピューリタニズムにがんじがらめになった白人コミュニティの住人ではないのか、ということを描きたかったんじゃなかったか、と思います。

Huck_and_jim_on_raft

 ハックとジムは筏で下る街ごとに伝導集会みたいなのに参加するんですが、そこは、いかさま牧師たちがカネを集めるような場でもあったわけですし、そこに集まるような人たちも一皮むくと、すぐによそ者をリンチにかけるような凶暴さを発揮するようなアニマルなわけです。

 ただ、このリンチに関しては、その必然性みたいなものも書かれていて、なるほどな、と思いました。

 それは陪審員たちは仕返しを恐れて無罪の評決を出すんだけど、その代わり、「一人前の人間」(原文ではイタリックのa man)が覆面をした臆病者たちを引き連れてその悪党をリンチにかける、というあたりです(22章)。

 なんとも殺伐とした世界ですが、そこには、まだ自由になれる場所はあるというのが救いだったんでしょうか。

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