« 『ハックルベリ・フィンの冒険』 | Main | 六角家のつけ麺の進化 »

July 18, 2010

『若者よ、マルクスを読もう (20歳代の模索と情熱) 』

Marx_for_young

『若者よ、マルクスを読もう (20歳代の模索と情熱) 』内田樹、石川康宏、かもがわ出版

 高校生にマルクスを読んでもらいたい、ということをモチーフにした往復書簡集。

 『共産党宣言』『ユダヤ人問題によせて』『ヘーゲル法哲学批判序説』『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』という初期の5冊について、石川さんが概説し、内田さんが聞かせどころを補足するというしつらえ。

 しかし、なんで、いまさらマルクスなの…と昔はどっぷり浸かったことのある身としては、よくわからなかったのですが、おそらく、この資本主義を変えようというか、世の中を少しでも良くしたいと思った場合、なにか、依拠できるような考え方はあるのか、あるいは世の中を変えるということ自体が可能なのか、というヒントにでもなれば、ということなんでしょうかね。

 冷戦が終了して20年。ようやく、ある種の恐怖なしにマルクスを読めることになったということなんでしょうか。

 その嚆矢となったのは、Kommunismusを「コミューン主義」と訳したマルクスコレクションでしょうか。それは廣松渉さんあたりから始まったことだと思いますが、ソ連と中共によってドブドロの中に捨てられてしまったマルクスの初心を救い出したんだと。

 だから、石川さんが牽強付会に「良い人」マルクスを描くのは、少し鼻白みます(ただ、エンゲルスが、父が創業者のひとりであったマンチェスターにあったエルメン・アンド・エンゲルス紡績工場で働いたあたりから、労働者の悲惨な状況に義憤を抱いたあたりの流れはいいと思います)。だから、次、資本論第1巻に進むんだったら、不倫しまくったとか、そんなあたりも書いたらどうかな、と思います。

 それに内田さんが書いているように《マルクスはぼくの問題を解決してくれない。けれども、マルクスを読むとぼくは自分の問題を自分の手で解決しなければならないということがわかる》(p.39)とまでは思わないし。

 ただ、コミューン主義にも通じるんですが、共産党宣言の最後の「万国のプロレタリア団結せよ」という結びに関して、世界を獲得するというほとんど幻想的な目標のために、選んだ言葉が「決起せよ」でも「打倒せよ」」でも「奪還せよ」でもなく友愛の言葉であることに偉大さを感じるというあたりはハッとしましたかね(p.49)。

 あと、マルクスが南北戦争終結後、リンカーンに祝電を打ったことに、互いをリスペクトしあっていた可能性について書いているところにも、なるほどねぇ、と。マルクスといいますか共産主義者同盟は、時短の法律などが成立すると、その政府に祝電を打ったりもしていたことは知っていたんですが、同時代史としては感じてなかったかな。それは米国のマルクス主義者が1950年代に壊滅されられていたから、なんてあたりにつなげるところは新しかったかな(pp.157-)。

|

« 『ハックルベリ・フィンの冒険』 | Main | 六角家のつけ麺の進化 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/48908806

Listed below are links to weblogs that reference 『若者よ、マルクスを読もう (20歳代の模索と情熱) 』:

« 『ハックルベリ・フィンの冒険』 | Main | 六角家のつけ麺の進化 »