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April 18, 2010

『ライブ・合理的選択論 投票行動のパラドクスから考える』

Rational_choice_theory

『ライブ・合理的選択論 投票行動のパラドクスから考える』小田中直樹、勁草書房

 小田中先生といえば『フランス7つの謎』『歴史学ってなんだ?』『世界史の教室から』など歴史学のイメージが強いのですが、経済学研究科の教授なんですよね。ということで、久々の新刊は経済学の分野といいますか、それの政治学への展開といいますか、合理的選択理論 (rational choice theory) を扱った本となりました。

 二大政党がほぼ確立されつつあり、本格的な政権交代も行われた日本の中で、「大体なんでぼくらは選挙に行かなきゃならないのか」という問題意識を改めて設定し、それを合理的選択理論でどれだけ説得的に説明できるか、というのを学術書の体裁よりも、ライブ感を大切にして書いた、という感じでしょうか。小田中先生は03年にも『ライブ・経済学の歴史 “経済学の見取り図”をつくろう』を上梓なさっていますが、なんと、今回は、各章の露払いに「ラノベ」を配するという画期的といいますか実験的な体裁をとっています。

 投票行動についてコストを重視したダウンズ・モデルから話を始めて、第一のパラドクスも説明。棄権の要素も加えて、「最大後悔最小化基準」からフェアジョン&フィオリーナ・モデルを説明し、最後はゲームの理論とナッシュ均衡で締めくくる、という流れ。最後に《合理的選択論とは、選択的に利用されるべき分析ツールでなのある》(p.231)と一応の結論はつけるものの、それよりも「あとがき」で書かれているように「市民性の教育」プロジェクトに参加したことをキッカケに合理的選択論に出会って、その入門書を書きたくなり、読者が「自分が投票した動機」や「政治と経済の関係について頭をひねるのも悪くないと感じ」てくれればいい、という感じなんでしょうか。

 ぼくは長いこと投票なんか行ったことありませんでしたが、それは、中学生の頃に出会ったマルクスの影響といいますか「上部構造なんて所詮」みたいな思いから抜けられなかったからです。で、初めて投票に行ったのは宇野政権のやった参議院選挙あたりでしょうかね。その後、細川内閣の成立ぐらいまでは、なんつうか、参加者意識をもって投票していたんですが、自社さが崩壊して自民党を中心とした政権が再び続くようになってからは全く行きませんでしたかね。その後、再び、行くようになったのは、棄権ばっかりしていると某宗教政党のようなのがのさばってくるのが我慢ならない、という気分が高まってきたからでしょうか。

 ということで、ラノベの部分は、正直、ラノベ自体を読んだことがないので、よくわからないのですが、それよりも、合理的選択理論と社会選択論と公共選択論の関係や異動について《本書の議論にはあまり関係ない(し、個人的にはどうでもよいことのようにみえる)ので、ここでは省略する》(p.43)なんてあたりの書きっぷりは好きだなぁ。

[目次]

まえがき

序章 大体なんでぼくらは選挙に行かなきゃならないのか
【選択のメカニズム】
【大体なんでぼくらは選挙に行かなぎやならないのか】

第1章 合理的選択論
1・1 【ラノベ編】昆くん、勉強する。
1・2 合理的選択論とはなにか
1・3 中位投票者仮説
1・4 【ラノベ編】昆くん、選挙(とカミーユ)に悩む。
1・5 ダウンズ・モデル

第2章 第一のパラドクス
2・1 【ラノベ編】昆くん、悩みが深まる。
2・2 第一のパラドクス
2・3 微調整をくわえる
2・4 【ラノベ編】昆くん、動揺する。
2・5 ゲームのルールを変更する

補論 有権者選択理論

第3章 第二のパラドクス
3・1 【ラノベ編】昆くん、腹をくくる。
3・2 第二のパラドクス
3・3 参加者の視野をひろげて考える。

終章 大体なんでぼくらは合理的選択論を勉強しなきゃいけないのか
【投票行動モデルに対する評価】
【合理的選択論に対する批判】
【合理的選択論に対する評価】
【ラノベ編】エピローグ

あとがき
文献
人名索引/事項索引

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