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December 23, 2009

税制改正大綱と政府税調

Symbol_of_cabinet_office

 2010年度税制改正大綱がまとまりました。

 商売柄、多少、関連する部分などは関心を持って論議の過程などを追っていたのですが、今回の税制改正大綱ほど、論議の過程がオープンになったものはありませんし(なにせネット中継もありましたし)、さらに速記録もサイトでオープンされるているので、議論を整理しながら追いかけることができます。

 政治の最大の眼目は集めた税金をどのように分配するか、ということですが、どんな部分から税を取り、またどのような活動に優遇措置を与えるか、という方向が見えるということでも税制改正論議は重要です。

 そうした大切な論議が、ほとんどオープンされているのに、この間のインターネットの論客といわれるような方々のサイトを見てもその扱いは軽く、いつもはそういった方々が批判するようなマスコミの論調に乗って、民主党の小沢幹事長がらみのタメにするような論議ばっかりしているようで「なんかなぁ」と思っていました。ぼくみたいな小物が言うのもなんなんですが、ちょっと一般紙の報道が劣化している、と感じると同時に、ポリシーウォッチをしているというような方も、こんなにオープンになっているに、もっと論議をしたらどうか、と思いました。

 政府税調でも蓮舫さんみたいなキャラが浮上すれば、そこから議論も広がっていったかもしれませんが、それにしても、これだけ面白い論議がオープンになっているのに、それを肴に蘊蓄を傾けない手はないと思います。ということで、圧倒的に力不足ですが、休みなので、勉強がてら議事録のポイントをおさらいしてみました。

 議論は膨大なので、高校無償化に限って、15日の議事録と資料から見てみたいと思います。

 制度設計と議論の前提は当日の資料一覧に掲載されています。

 文部科学省による「特定扶養控除(16歳以上19歳未満)の見直し(試算)」をみると、所得税の一般の扶養控除は38万円。それに対して特定扶養控除は、この16歳から22歳までに25万円の上乗せをして、トータルで63万円という控除を付けてきた、と。今回提案したのは上乗せをした25万円分について縮減をしたいということ。地方税である住民税の扶養控除一般では33万円だったが、これが45万円にかさ上げをしている部分を今回縮減していく、という内容です。

 トータルで国税が1000億、地方税は350億円の増税になるが、高校の無償化との差し引きになって、負担が減じられていくというのがポイントで、資料の表をみると、その縮減額は150万円では9万4300円。250万円、500万円のそれぞれの世帯で8万1800円、5万6800円ということで、徐々に逓減。1500万円のクラスになると2万4300円、2000万円になると6800円という形で調整されていく、と。大学生の子どもを持つ家庭に対しては、これまでとおり63万円の控除を維持していくので、今回の論議は高等学校の子どもにのみ限った形で特定扶養控除の調整をすることになるわけです。

 中川文部科学副大臣の論議を整理すると、高校無償化は、従来の自民党型のいわゆる社会保障的な授業料減免ということの延長線上ではない、と。子ども手当と同じ考え方で、社会全体で子どもを養育していくということ、それから、教育をしていくということを支えていく、そういう社会システムをつくっていくんだという理念に基づいて、統一してシステム化されたものとして提案されている、と。

 しかし、財源問題が出てきた、と。

 まず、所得制限は「社会全体で子どもを養育していく」という基本原則が崩れてしまうし、「高校の無償化に伴って、少しでも圧縮すると、若干、可処分所得が結果として減ることになりますから、そういう提案をしたところ、それは全国から随分お便りを、高校生を養育されておられる親御さんからいただきまして、まさにお金が一番かかっているときではなかろうかという御指摘もあります」(中川文部科学副大臣)ということで、排除する、と。

 そんなんで、よくよく考えると、特定扶養控除を全て廃止するのではなくて、縮減する形で何らかの調整ができるのではないか、という方向が出てきた、と。

 ということで、資料の説明に入るのですが「本来なら文部科学省の立場で言えば、黙ってお金だけ付けてくれという立場なんですけれども、しかし、財源ということを考えていき、あるいはトータルな制度改正の流れということを考えていくと、やはり、今、踏み切るときであろうかというふうに思うんです」(同)ということも語っており、ちゃんと査定大臣しているな、という感じを受けます。

 また、山田農林水産副大臣からの「できれば250万円まで所得控除の縮減をしないで、1500万円とか2000万円の方に負担を厚くするという方法での縮減というものはできないものか」という提案に関しての峰崎財務副大臣による「おそらく、所得税のところの欄が、非常に所得の低い人が1万9000円で、上の方は15万2000円の見直し後の便益というものはおそらく、ここでは累進性がきいてくるんです」という答えも明快だと感じました。

 最終的には「菅会長代行にもこういった情報を正しく伝えて、きちんと議論をし、その調整に委ねながら、後日、検討結果を報告したいと思っております」(峰崎財務副大臣)ということで、お開きになり、その後の折衝で公立高の生徒から授業料を徴収しないことが合意されたようですが、こうした細かな論議は、自民党時代はインナーと呼ばれる長老たちが密室でやっていました。

 といいますか、この論議で重要だと思ったのは「こうやって詰めていくんだ」という形が示されたことだと思います。

 原口総務大臣が8日の会合の冒頭、「1回自由を経験した国民は、自由を手放すことはない。1回自らの権利を学んだ人は、その権利を手放すことはない。それが近代の解放の道筋だ」「私たちは今回、政権交代でそれを経験しているわけです。まさに税という形で、それを国民にしっかりと届けようではありませんか」と語っています。

 今後、政権が自民党に戻ることもあるかもしれませんが、こうした論議が密室で行われるようになることだけにはしてもらいたくないし、そういった意味からも、小沢幹事長の豪腕ぶりだとか、鳩山首相のリーダーシップとか、そんなワイドショー的な議論ばかりではなく税調の論議に少しでも関心が集まればいいな、と感じています。

 以下は、日経の「税制改革」記事一覧です。これと、政府税調の資料を合わせて読めば、わかりやすいのではないかと思います。

* (12/22)増税1兆円規模、子育て世帯には恩恵 税制大綱を閣議決定
* (12/22)首相「景気対策に使ってくれとの思い伝わった」 暫定税率維持
* (12/22)ガソリン税率維持、子ども手当所得制限なし 首相表明
* (12/22)たばこ1本、5円値上げ 政府調整
* (12/21)「22日に税制改正大綱を閣議決定」 財務相「予算案は25日」
* (12/21)たばこ1本3円値上げ、政府税調調整 与党内に5円案も
* (12/16)税制大綱、納税者番号14年から 消費増税、4年間凍結
* (12/15)政府税調、特定扶養控除で迷走
* (12/9)中小法人減税見送り 政府税調決定、特定扶養控除は維持
* (12/8)民主、たばこ税上げ容認へ 政府への重点要望
* (12/8)政府税調、税制大綱を来週以降に先送り 環境税には慎重論
* (12/7)鉄や自動車など9団体、環境税に反対表明
* (12/5)扶養控除廃止「23歳以上」結論出ず 政府税調
* (12/4)住民税の扶養控除も廃止へ 政府税調、たばこ大幅増税検討
* (12/3)官房長官、たばこ税増税「やむを得ない」
* (12/1)「グループ法人税制」見直し 税制改正要望1次査定案
* (11/28)10年度税収も「40兆円割れ」へ、財務副大臣見通し
* (11/27)金融商品取引の損益通算、範囲拡大先送り 政府税調
* (11/25)政府税調、住宅税制で攻防 国交省、贈与税の非課税枠拡大を要望
* (11/19)政府税調、急きょ取りやめ 国会のあおりで
* (11/18)扶養控除縮小に異論噴出 政府税調、所得課税見直しで集中討議
* (11/18)地方税改正要望、新築住宅減税見直し 総務省が査定原案
* (11/16)政府税調、相続税の強化検討 租税特別措置で査定案
* (11/11)租特明細提出、企業に義務付け 政府税調、政策効果を検証
* (11/10)自民・たばこ特委、増税反対を確認
* (11/7)たばこ増税に賛否 意欲みせる厚労省、財務省は慎重
* (11/2)10年度税制改正要望は194項目 財務省が集計
* (10/30)鳩山首相、たばこ増税「ありうべし」
* (10/30)税制改正、温暖化税が焦点 暫定税率廃止へ環境省要望
* (10/28)中小企業の法人税軽減、10年度改正で要望へ 経産省
* (10/23)中小法人税、税率下げ先送り 政府税調検討、11年度以降に
* (10/20)国家戦略相、暫定税率の環境税への振り替えに慎重
* (10/20)自動車取得税など廃止要望 自動車総連、税制改正ヒアリング
* (10/16)「環境税、慎重な検討を」 石連会長や自工会会長、相次ぎ注文
* (10/13)酒・たばこなど、税制改正要望を公募 財務省
* (10/9)首相、所得課税の抜本見直し諮問 「減税要望は財源確保策を」
* (10/8)政府、「給付付き税額控除」検討へ 新政府税調
* (8/27)税制改正要望小粒に 衆院選控え及び腰

なお、左上のシンボルマークは2枚の木の葉をモチーフにした「Cabinet Office(内閣府)」のものです。

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Comments

財源が足りないのだから、子ども手当に年収300万円の所得制限を設ければよい。
橋下知事は7人の子供がいるので、毎月18.2万円、年間218万円の子ども手当がもらえる。
これから3人の子供を生むとすると、総額1千4百万円の他人のお金(税金)がもらえる。
在日ももらえるのが最大のみそ。
注)2.6万円x12ヶ月x15年x3人=1.4千万円
政権交代という目的を達成するために、いかに他人のお金をばら撒いて集票するかというのが、出発点であるから理念が無い。
防衛費よりも多い毎年5.3兆円を使って高所得の家庭まで支給する必要は無い。
社会主義に偏向した民主党は何でも一律が公平だという偏見と誤解を持っている。
少子化対策という明確な理念があり、効果も証明すれば反対者は減るだろうが、少子化対策にはならない。

Posted by: 子ども手当に所得制限を設けよ | December 24, 2009 at 11:52 AM

どうもはじめまして。

そういえば、断末魔の自民党がばらまいた定額給付金も高所得者層を仕分ける事務手数の手間を省くために、所得制限はナシでしたねぇ。収入、しかも世帯収入を把握するのなんて、それこそ歳入省みたいなのをつくって一元管理でもしないかぎり、大変なんだと思いますよ。

まあ、4年間は民主党政権が続くでしょうから、反対の立場の方々は、その間に、いろいろ理論武装なさればよろしいんじゃないかと思います。そういった意味でも政府税調のHPは参考になると思います。

10年一日のごとく財政出動して公共事業やるか、それとも子ども手当の方が、長期的にみて、成長に寄与するかなんていうのは、誰にもわからないとは思いますし、上にも書きましたが、山田農林水産副大臣による反対意見も出ています。でも、それは理念に関することですから、変わらなかったんだと思います。確かに、どうなかは神のみぞ知るかもしれないけど、とにかくそれをやるといった民主党が政権選択選挙で300議席以上をとってしまったわけですから、その理念に沿ってやらせて、もらう、と。この唯物論的現実は当分、変わらないと思います。

Posted by: pata | December 24, 2009 at 03:23 PM

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