『少年トロツキー』
『少年トロツキー』ジェイコブ・ティアニー(監督/脚本)
22回目を迎える東京国際映画祭が25日までの日程で開かれていますが、初めて、コンペティション参加作品みたいなのを見ました。
それは『少年トロツキー』。なんで少年?なぜ舞台はカナダ?しかも学園コメディ?
かなり設定は強引です。なぜかトロツキーの生まれ変わりだと信じるレオン・ブロンシュテイン君は、裕福なユダヤ人家族の元に育ちますが、休みの間に父親の工場で見習いとして働いている間に組合の結成を呼びかけたり、通っている高校でも学生の組合の結成を呼びかけます。
この間、トロツキーのように年上の女性であるアレクサンドラと恋に落ちたり、最後には、カナダのロンドンでウラジーミル・ウリヤノフ(レーニン)と出会ったりしますが、物語の軸は、ハチャメチャとも言える学生組合の結成に向けたボルシェビキ流の実力行動を次々と考えつき、実行していくこと。
周りの学生たちのキーワードはApathy(無気力)とBoaring(退屈)。「ストだ!」と叫ぶトロツキー君におもしろ半分につきあって教室を抜け出したりしますが、それ以上は付き合ってくれません。でも、仲間のひとりが「学校はなんてつまらないんだ。こんなつまらないところで、なんで学んでいるんだ。それを、すくなくともレオンは訴えているんじゃないか」と考えるところから変っていきます。
プログラムによるとジェイコブ・ティアニー監督はケン・ローチに憧れてこの世界に入ったとのこと。
トロツキーなんて、1970年代半ばから、誰もも相手にされなかったのに、時代の閉塞感がここまで高まると、復活するんでしようかねぇ。まあ、少なくとも彼は何かをやり遂げましたからね。しかも、酷い老醜をみせることもなく死にましたから、ある種、無垢の英雄のままなんでしょう。ゲバラほどハンサムではないし、メガネは冷たい印象を与えるけど、今後、彼の肖像もアイコンとなっていくんでしょうか。
にしても映画には今、貧困の問題を扱ったり、社会的なテーマを真正面から取り上げるような作品が増えていると思います。もちろん娯楽性は大切ですが、やはり映画というのは、それを観た人に、何かを訴えかけてしまう、という側面もあるんだな、ということを改めて感じます。
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