« 『初期キリスト教の霊性 宣教・女性・異端』 | Main | 鳩山、菅、岡田の本棚 »

September 13, 2009

『お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人』

Les_francais_gourmets_sans_depenser

『お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人』吉村葉子、講談社文庫

 「サラミがあって、買いたてのバゲットがあればいいんだわ。それとレタスがあれば、それだけで最高よ」という留学先で出会った友人の言葉と、ご本人の《それにしてもフランスで、野菜や果物やハムやサラミがあれほど美味しくなかったら、私のパリ生活もそう長くは続かなかったにちがいない》(p.41)というところに、この本のエッセンスがあります。

 胡瓜だけ、ニンジンだけのサラダ、長ネギのホワイトアスパラ風熱々サラダなど、切るか茹でるだけで、あとはドレッシングかベシャメルソースで食べるだけという、レシピいらずのメニューが紹介されていることが多いのですが、いともたってもいられず思わずつくってしまうぐらい美味そうに書いてある。

 雰囲気はまるで違うけど、映画でジャン・ギャバンが赤ワインでバゲットと肉だけをさもつまらなそうに食べているんだけど、見ているうちに生唾が出てくるような感じ。肉を噛みしめた後、パンを引きちぎって口に放り込み、赤ワインで洗い流す、みたいなテンポ。

 筆者は似たような本をかなり大量に出しているので、情報としてはダブっているかもしれませんが、ぼくにとっては、帰りに読むものがなくなった時に手にとった初めての本なので、興味深く読ませてもらいました。

 例えば、レバノンは宗教がグチャグチャだけど、ユダヤ人もイスラム人も食べられるよう、料理はひよこ豆やゴマ、山羊乳のチーズやヨーグルトなど平和的な食材でなりたっていて、しかも美味いというのは知らなかったな(p.111)。こうした料理が好きなベジタリアンは早寝早起きの人が多いとか。

 フランスでは革命以来、政教分離(ライシテ)が徹底しているけど、金曜日の給食には宗教的な意味合いから肉ではなく魚が出るというのは意外(p.142)。あと、フランス革命ネタでは、ブルゴーニュの教会に寄進されていた葡萄畑を国家が没収して農民たちに分割されたという経緯があるので、今でも境界線が入り組んでいるとか(p.154)。

 今年の夏も美味しいアルザスワインをたくさんいだきましたが、アルザス地方は近世、フランスとドイツの間をいったりきたりしていました。この土地は、豊富な地下資源と交通の要衝であることから、パリに次いで経済的に豊かな土地だけど、戦争が続いていた時には、お菓子を家族や仲間たちと食べることによって幸せを分かち合ったということで、今でも有名パティシエを数多く排出しているそうです(p.197)。

|

« 『初期キリスト教の霊性 宣教・女性・異端』 | Main | 鳩山、菅、岡田の本棚 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/46199527

Listed below are links to weblogs that reference 『お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人』:

« 『初期キリスト教の霊性 宣教・女性・異端』 | Main | 鳩山、菅、岡田の本棚 »