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August 05, 2009

『昭和の戦争 保阪正康対論集』

Showa_no_sensou

『昭和の戦争 保阪正康対論集』朝日文庫

 この時期、毎年、一冊は「あの戦争」に関する本を読むことにしています。今年は半藤一利さんなどとともに、文藝春秋のシリーズでもおなじみの保阪正康さんの対談集。

 ラインアップは「対米戦争 破滅の選択はどこで」(半藤一利)、「一兵士が見た日中戦争の現場(伊藤桂一)、「統帥権が国を滅ぼしたのか」(戸部良一)、「帝国陸軍軍人の品格を問う」(角田房子)、「南京と原爆 戦争犯罪とは」(秦郁彦)、「特攻とは何だったのか」(森史朗)、「戦艦大和の遺訓 歴史は正しく伝わっているか」(辺見じゅん)、「ヒトラー、チャーチル、昭和天皇」(福田和也)、「東京裁判とは何か」(牛村圭)、「近代日本の敗北、昭和天皇の迷い」(松本健一)などなかなか魅力的です。

 今回もいろいろ知らないことを教えていただきました。

 日独伊三国同盟の大きな問題点として、これを結んだことによって、日本だけ先に講和をすることができなくなったことを昭和天皇が「終始日本に害をなした」と批判していること(独白録、p.27)。あと、この直後からドイツが負けはじめるというのも、本当にタイミング悪かったですよね…。

 逆にドイツも真珠湾攻撃の直後に、レニングラードを攻めあぐねているのに、何のメリットもない対米宣戦布告を行うのですが、これもよく考えれば不合理です(p.161-)。感覚がズレていったのかもしれません。

 あと、旧陸軍で「命令される側」は現場の中隊長、小隊長、分隊長、兵隊。大隊長以上が「命令される側」という話はリアリティありました(p.38)>

 また、司馬遼史観によって統帥権の独立があったから軍が暴走したという味方は単純であり、本来の目的は軍の政治的中立性を確保するものだった(p.61)というのもなるほどな、と。

 あと、特攻隊は、レイテ湾のマッカーサー部隊の上陸を阻止するために大和、武蔵を中心とした連合艦隊が総力をあげて突入する、その一時期だけ米軍の怪獣航空兵力を飛び立たせないように航空母艦の飛行甲板を使用不能にする、という限定的な戦法だったが、最初の敷島隊の戦果が空母一隻撃沈、一隻中破という過大なものだっために、全軍特攻へエスカレートしていったというのも、やりきれない話でした(p.128)。にしても、栗田艦隊はなんで突入しなかったのか…。

 また、明治天皇がこだわったのは勝利だったが、昭和天皇は意志決定のプロセスを守ることにこだわった、というのも、なるほどな、と(p.176-)。

 最後は東京裁判ですが、ハルノートに関してパル意見書の「こんなものを突きつけられたら,モナコ公国やルクセンブルク大公国でもアメリカに戈を取って立ち上がったろう」というのをパル博士オリジナルとして引用している専門家wもいるということですが、これはアルバート・ノックの文章がオリジナルです(p.196)。

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