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June 18, 2009

『ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊』

Bokuno_ketsuniku

『ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊』立花隆、文藝春秋

 引き続き立花さんの書評を読みました。例によって連載をそのまま並べただけという手抜きはなしで、今回は有名なネコビルと、その周りに何軒か借りているというマンションの書庫を編集者と歩きながら、これまで読んできた本を語りおろしまくるというオリジナルが、はしがきも含めて238頁まで続くという豪華版。週刊文春で5週間に一度掲載されている立花さんの連載は基本的に新刊書ばかりなので、こうやって、これまでの読書経験を前に持ってきたり、挟んだりして、バランスをとっているんだと思います。

 1963年の異常気象が歴史的異常気象であったことや、日共系のバクロ雑誌に『眞相』というのがあり、その復刻版が1981年に出ていたとか、『日本共産党の研究』で日共が攻撃してきたけどビクともしなかったのはリンチ殺人事件を完全自供した『木島隆明調書』という資料を持っていたからだとかは知らなかったな。

 最近、鳩山弟が大した気概も感じさせずに西郷隆盛の言葉を引用していたのには大笑いしたのですが、立花さんは《万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕者を戒め、節倹を勤め、職務に勤労して人民の標準となり、下民その勤労を気の毒に思うようならでは、政令は行われ難し。然るに草創の始めに立ちながら、家屋を飾り、衣服を文り(かざり)、美妾(びしょう)を抱え、蓄財をはかりなば、維新の功業は遂げられまじきなり。今となりては、戊辰の義戦もひとえに私(わたくし)を営みたる姿になりゆき、天下に対し戦死者に対して面目なきぞとて、しきりに涙を催されける》という『南洲翁遺訓』の有名な箇所を外人記者クラブの講演で解説して田中政治を批判したそうです。

 個人的には文献学には心惹かれるものがあるのですが、馬王堆古墳から出土された『老子』などは現在、伝えられているものとは相当違う部分があったというのは知らなかったな。それまでの最古のテキストより1000年近いテキストなので、そういうことになったんでしょうね。今では馬王堆出土文献訳注叢書が出され『老子』などの出土された本が日本語解説付で読める時代になってきているようです。『先代舊事本紀』なんかと一緒にいつか読んでみたい。

 幕末の文久3年、第14代将軍徳川家茂が総勢3000人を引き連れて日本橋から二条城まで東海道五十三次を通って上洛した時に書かせた浮世絵を集めた『東海道五十三次 将軍家茂公御上洛図―E・キヨソーネ東洋美術館蔵 』福田和彦も読んでみたい。

 日本の政治には政友会によるバラまき政治の後始末をした民政党がない、という『日本政治「失敗」の研究』坂野潤治はいまもってそうだな、と。

 ニクソンショック後の世界は、米国債本位制なのだという『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル ハドソンは購入。

 山田風太郎さんの日記はほとんど読んでいたとおもったけど『戦中派焼け跡日記 昭和21年』は読んでいなかったので購入。

 恥ずかしながら『常用字解』白川静という便利な本が出ているのを知らなかったので購入。

 『裏支配―今明かされる田中角栄の真実』田中良紹も今さら感はあるけどお勧めということなので購入。

 『漢書』から『旧唐書』まで、倭人・倭国について記した中国の正史の原文と読み下し文を掲げて解説をほどこしているという『中国正史倭人・倭国伝全釈 』鳥越憲三郎も購入。鳥越さんによると倭族は長江流域を出て広がった民族で、稲作と履き物を脱いで家に上がる文化を持っていたという(日本はワン・オブ・ゼム)。

  統計学を使い、古代の天皇の平均在位が10年だとすると卑弥呼はA.D.230年ぐらいの人で、卑弥呼がアマテラスだとすれば神武天皇はA.D280頃に活躍していた実在の人物だと考えられるという『大和朝廷の起源―邪馬台国の東遷と神武東征伝承 推理・邪馬台国と日本神話の謎』安本美典というのも面白そう。

 塩野七生さんも『愛の年代記』で書いているけど、男装して修道院に入った女性が混乱の中で教皇になるが、側近の子を身ごもり、行列の最中に出産して殺されてしまうという『女教皇ヨハンナ』ドナ・W.クロスってのは本当にいたんだ、みたいな。

 十兆分の一から百兆分の一というパルス幅で発振されるレーザーを使えば熱の心配なく生物の細胞にもアナを開けられるそうです。『フェムト秒テクノロジー 基礎と応用』平尾一之、邱建栄 (編) なんかも、もっとわかりやすい本が出たら読んでみたい。

 『ハイデガー「哲学への寄与」解読』鹿島徹、相楽勉、佐藤優子、関口浩もいつか読もうかな、と。

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