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April 01, 2009

『絵解きでわかる聖書の世界 旧約外典偽典を読む』

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『絵解きでわかる聖書の世界 旧約外典偽典を読む』秦剛平、青土社

 ヨセフスの研究家でもある秦剛平先生は普段、多摩美術大学で教えています。もう図像の重要性が語られ初めてから何十年もたつのですが、このところ『旧約聖書を美術で読む』『新約聖書を美術で読む』『反ユダヤ主義を美術で読む』というシリーズを出していまして、いわば、その第四弾がこの本。

 ぼく個人としてはあまり旧約は面白いと思って読んだことはないのですが、カトリックの第二聖典を含む旧約外典偽典は逆に読物としても非常に面白いと思っています。

 ということで、この本はマカバイ記の1~4、トビト記とユディト記、ギリシア語エステル記、ダニエル記補遺に関して、西洋の画家たちが挿絵や油絵として残した図像を元に、解釈を膨らませています。

 講演を元にしていますので、しゃべり言葉で語られていて、それなりにわかりやすいですし、ヨセフス研究では長年やってらしたので、それなりの安心感はあって読み進めることができます(なんとも下品なユーモアは読まなかったことにするという努力は強いられますが…)。

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 「お話し」で進みますので、これまで個人的な興味のなかった、天使ラファエルが最初に登場するのはトビト記だとか、ヤン・ステーンの絵画『トビトとテラの結婚のお披露目』で家と家の間に張ってある網みたいなものは「クパー」と呼ばれる天蓋で、現代ユダヤ社会でも使われているとか、新旧約聖書で化粧の美しさが強調されるのはユディトだけなんて話は、なるほどな、と思わせます。

 ユディト記、個人的にも好きです。

 絶世の美女が、敵の将軍の寝所に潜り込み、しかも首を切り落として凱旋するという物語は画家の想像力を掻き立てるのでしょうか、ボッティチェリやカラヴァッジオなども名作を残しています。

 トビト記に関してはレンブラントが画家生活の最初と最後の方でいい作品を残してるのも印象的ですね。『子山羊を盗んだとハンナを非難するトビト』なんかは、テレビかなんかで見ただけですが、色彩も豊かでいい作品です。

 ユディトに集中しますが、カラヴァッジオ派(カラバジェスキ)の女流画家アルテミジア・ジェンティレスキが自身をモデルにしたユディトの絵はのど元が腫れています。これは当時のヨーロッパではヨード不足で、喉元を腫らしていた女性が非常に多かったとのことです(p.95)。ちなみに、表紙に使われているユディトもアルテミジア・ジェンティレスキの絵。

Botticellijudith

 マカバイ記に関しては1~4すべてを取り上げていますが、なぜか図像にチープなのが多いのは不思議な感じがしました。

 あと、シナイ山にある聖カテリナ修道院に伝わるギリシア語写本の挿絵などを収録した"The Monastery of Saint Catherine at Mount Sinai: The Illuminated Greek Manuscripts : From the Ninth to the Twelfth Century"Kurt Weitzmann, George Galavaris, 1991はいつか読んでみたいな、と思いましたかね。

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