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March 06, 2009

『世界がわかる理系の名著』

Rikei_14

『世界がわかる理系の名著』鎌田浩毅、文春新書

 ダーウィン『種の起原』、ニュートン『プリンキピア』、ワトソン『二重らせん』など理系の名著14冊を京大大学院の鎌田教授が、なんといいますかテレビ的な手法で解説してくれているのが本書。テレビ的だと思うのは、14冊について「書いた人はこんな人」「こんなことが書いてある」「その後、世界はどう変わったか」「エピソード」「教訓」さらに本にまつわるコラムと、様々な角度から取り上げている点。

 もちろん、一般の読者向けに書かれているんですが、鎌田先生の中では、やはり理系の研究者にも参考にしてもらいたい、ということで、特にアウトリーチの重要性については、口を酸っぱくするぐらい強調していたのが印象的。あと、理系の研究者には自然界の一次データを取るモノ派と、これを料理して面白い話を作りあげるスジ派があるなんていう話も素人には面白かったです(pp.49-)。

 エピソードでも、世界でメンデルが手を加えたと同定される植物が残っていたのは東大の小石川植物園だけになってしまったことがあるそうで(研究を続けたブリュンの修道院はチェコにあったため、第二次大戦の混乱や、その後の宗教弾圧で一時閉鎖されてしまったそうです)、シベリア鉄道で運ばれたメンデルのブドウは、1989年、再び里帰りしたなんていうのもいい話です。修道院にとってブドウの品種改良は、地元の農民の生活改善にもつながる重要な仕事だったそうで、こんど、チェコのワインを飲む時には、メンデルに乾杯しようと思いました。

 14冊のうち、ぼくが実際に読んだことのあるのはファーブル『昆虫記』とワトソン『二重らせん』だけでしたが、鎌田先生も初めて読んだものが多かったと書いています。

 ガリレイ『星界の報告』が分かりやすく面白く書かれているというのも知りませんでしたし、ハイデガーの関係もあるのでユクスキュル『生物から見た世界』も読みたいと思いましたが、とりあえず、ダントツに面白そうだったハッブル『銀河の世界』は注文しました。

 ハッブル以前は、ぼくたちの地球のある銀河がただひとつの銀河なのか、それとも複数の銀河が存在しているのかよくわからなかった、というのは今となっては信じられない話です。また、ハッブルは《イケメンで頭脳明晰、スポーツ万能、華やかな交友関係、そして天文学を決定的に変えた科学者。何ともスーパーマン》だったそうです。

第1章 生命の世界(ダーウィン『種の起原』
ファーブル『昆虫記』 ほか)
第2章 環境と人間の世界(ユクスキュル『生物から見た世界』
パヴロフ『大脳半球の働きについて―条件反射学』 ほか)
第3章 物理の世界(ガリレイ『星界の報告』
ニュートン『プリンキピア』 ほか)
第4章 地球の世界(プリニウス『博物誌』
ライエル『地質学原理』 ほか)

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