ブラームスはお好き?
『ブラームスはお好き』といわれても、いい加減なクラファンである小生には交響曲1番ぐらいしか好きな曲がありませんでした。
ブラームスは巨大で、本格的で、簡単には好きだと言えないような感じがして。立ち向かう必要があるようなブラームスは避けていたんですよ。
でも、先日、久々にタワーレコードでCDを物色して、ポリーニ+イタリアSQでピアノ五重奏曲ヘ短調を聴いた時に「いい曲だな」と思って、とりあえず、室内楽をじっくりいってみようと思ったのが集中的に聴こうと思ったキッカケ。ちょうどブタペスト四重奏団のブラームス室内楽全集がタワーレコードの企画した復活モノが出ていて、しかも確か2800円ぐらいだったので本当にラッキーでした。
室内楽はどんな保守的な作曲家でも前衛っぽくなるところがあるんですが、クラリネット五重奏曲のデヴィッド・オッペンハイムのクラリネットの不安定な音は、意外にもマイケル・ナイマンの曲みたいに聞えたのが新鮮でした。ピアノ五重奏曲ヘ短調もゼルキン+ブタペストSQだと不安感を前面に出している感じ。ゼルキンなんて単なるお爺さんだと思っていたんですが、ゼルキンとともにブラームスの一面を新たに発見できたような気がしました。
ということで管弦楽も集中的に聴いてみようということで、愛するレニー/WPOの管弦楽全集を集中的にいきました。意外にも4番とか明るいな、と。特に第一楽章。第二楽章、よくわからないのですがフリギア旋法という古めかしい手法がいい感じ。大学祝典序曲も悲劇的序曲もいいなぁ…と思っていたんですが、やっぱり交響曲第三番の第三楽章はいいですわな。
これはサガンの『プラームスはお好き? Aimez-vous Brahms? 』を原作にした映画『さよならをもう一度 』でも効果的に使われていました。
甘いんですよね。
メロディが。
ということで、さらに声楽まで行ったんです。『ドイツ・レクイエム』。
恩師であるシューマンと母親の死に際して、ペトロの第一の手紙1:24を中心とした歌曲をつくろうと思ったのがキッカケらしいんですが、ペトロの第一の手紙なんてあまり真剣に読まれないようなところをもってくるのがさすがブラームス。渋い。つか、渋すぎ。
「人は皆、草のようで」は新共同訳でも調子のいいところ
「人は皆、草のようで、その華やかさはすべて、草の花のようだ。草は枯れ、花は散る」
というイザヤ書の40:4-8からのやや自由な引用です。
でも、ここで「人」と訳されているギリシア語のσαρξ(サルクス)はブラームスが使っているルター訳のドイツ語ではFleischとなっています。英語ではFresh。モロ「肉」。ヨーロッパの人たちは、こんなところを「肉である人は全て草のようだ」なんていう訳でも、立派に(?)詩情を感じているのだとしたら、なんつうか凄すぎるというか、ちょっとね…みたいな気分もするんですが、まあ、いいわな、と。イザヤ40:6-7は新共同訳でも「肉なる者は皆、草に等しい。永らえても、すべては野の花のようなもの。草は枯れ、花はしぼむ。主の風が吹きつけたのだ。この民は草に等しい」と、より「肉」が強調されています。ヘブライ語「バーサール」が使われているところ。ヘブライ語になると、もっと、本当に直接的に「肉」なんですけどねぇ…。
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