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February 24, 2009

『李白 巨大なる野放図』

Lihaku

『李白 巨大なる野放図』宇野直人、江原正士、平凡社

 NHKラジオの古典講読で放送された内容が、平凡社の漢詩プロジェクトの目にとまり『杜甫』とともに出版されました。

 『李白』も『杜甫』も、その生涯の歩みに沿いながら、代表的な詩を鑑賞していこう、という基本構成になっています。元々、ラジオ番組ですので、面白くってためになる。学者さんである宇野先生に、声優として有名な江原さんがいろいろ質問していく、という内容なので漢詩についてあまり詳しくないぼくみたいな者でも興味深く読み進めることができました。

 といいますか、お恥ずかしい話ですが、中国の詩人に関して、その伝記を読んだことがあるのは陶淵明ぐらいだったんです。ですから、李白の生涯が、かなり波瀾万丈であったということぐらいは、なんとなく知ってはいましたが短い宮廷詩人の時代が玄宗皇帝、楊貴妃の最盛期にあたっていたり、楊貴妃に嫌われて追放同然に宮廷を去ったり、その直後に杜甫と出会って2年間も放浪したり、その後も安史の乱に巻き込まれて刑死寸前で救われたり、流されたりと本当に波瀾万丈だったということまでは思いもよりませんでした。しかも、こんなにオールスターキャストに恵まれた生涯だったとは!

 でも、まあ、なんといっても魅力は詩。

蘭陵美酒鬱金香(らんりょうのびしゅ うこんのこう)
玉椀盛來琥珀光(ぎょくわんもりきたる こはくのひかり)
但使主人能酔客(ただしゅじんをしして よく きゃくをよわしめば)
不知何處是他郷(しらず いずれのところか これたきょう)

なんていう宴たけなわの状態を詠った「客中行」もいいですし、宮廷詩人時代に戦争の悲惨さを詠った「戦城南」の最後の4節も凄い。

士卒塗草莽(しそつ そうもうにまみれ)
將軍空爾爲(しょうぐん むなしくしかなす)
乃知兵者是凶器(すなはちしる へいは これきょうき)
聖人不得已而用之(せいじん やむをえずして これをもちふるを)

 また、マーラーが『大地の歌』の第一楽章につかったテキストの原文「悲歌行」の出だしもいいんですよねぇ。

悲来乎(かなしいかな)
悲来乎(かなしいかな)
主人有酒且莫斟(しゅじん さけあるも しばらくくむことなかれ)
聴我一曲悲来吟(わがいっきょく ひらいのうたをきけ)

 引き続き『杜甫』を読んでいます。

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