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December 14, 2008

『フランコ・ロッシのカルチョイタリア通信』

Rossi_calcio

『フランコ・ロッシのカルチョイタリア通信』フランコ・ロッシ、酒井うらら(訳)、水曜社

 J1、J2の入れ替え戦見ても面白いし、天皇杯もそれなりにハラハラするし、日本代表のことも気になるし、わざわざ日本にやってくるCWCのサポーターなんかをみても、やっぱりサッカーは語るにたるものだな、と思うことしきりです。

 この本はサポティスタで知りました。「ほぼ日」は手帳を使っているものの読んでいないので、2002W杯期間中の「アズーリにべったり密着50日」も、終了後の「フランコさんのイタリア通信」も読んでいないので、面白いマンガの単行本を大人買いできたような気分ですかね。

 最初がいいです。1950年のW杯で勝ったウルグアイ代表のキャプテン、ヴァレイラに会う場面。ヴァレイラはその後、落ちぶれて駐車場の管理人をしていました。「夢なんか実現しなかった方がよかった」という彼をロッシさんは、こう批評します。

 ぼくは知っていました。夢を次元させた後、急に有名になった人が陥りやすい落とし穴に、彼もはまってしまったことを。彼は、汲めども尽きないお金の泉など存在しないことを忘れ、飲む、打つ、買うに浮かれて、すべてを水の泡にしてしまったのです。「夢は実現しない方が良いのです」という彼の言葉は、ぼくの胸をしめつけます。しかし、夢は実現しない方が良いのではなく、夢が実現した後は目を覚ましていなければならないのです。それが現実というものです。

 「夢が実現した後は目を覚ましていなければならない」。これはいいな。

 ジョン・ヒューストンの自伝の最後に載ってる「金を使うのはまず金を手にしてからにする」というのも拳々服膺しているのですが、それとともに、これさえ守っておけば、という感じもします。

 サッカーの感動からはいきなり離れてしまったのですが、感動を得るためにも、まず自分の生活というものをキチンとしていないと、つまんない出来事に妙に感動しすぎたり、あるいは静かな感動を得られないと思うので…。

 ということで印象に残ったエピソードはいろいろあるのですが、まずイタリアのアルビーノレッフェ(Unione Calcio AlbinoLeffe)がセリエBに残留を果たしたということで、監督がサポーターを自宅に招いてパーティを開いた話(p.59-)。以下の文章には全く賛成です。

 そう、イタリアの格言にある通り、「金銭は幸福を与えない」の一例です。  幸せでいるためには、お金だけではダメな時もありますものね。  そこに必要なのは健康で自然な食べ物と質の良いワインと、それから何にもまして沢山の情熱と友情と、楽しもうとする気持ちなのです。

 これは比較的、有名ですが、家出した15歳の少年フランチェスコに対し、インテルのファンだということで、選手たちが協力して「家に帰れ」と呼びかけた話。コッパ・イタリアでユーヴェに負けたばかりの試合直後、当時はインテルに所属していたヴィエリが「フランチェスコ、君は今夜の、このテレビを見ただろう? 僕らは負けてしまった。でもお願いだから、君は家に帰ってくれ。君みたいなティフォーゾがちゃんと応援してくれなきゃ、ぼくらは勝てないよ」と呼びかけて、無事に戻ったというんですね(p.75)。ロッシさんも書いていますが《キリキリして勝ち取るカップのひとつやふたつより、こういう経験のほうが価値があると、ぼくは信じています》。

 マンチーニが自分の給与の1/10を恵まれない子どもたちの育英資金に寄付しているのも知りませんでしたが(p.91-)、収められているのは、こういう良い話だけではありません。史上最も才能のあったセンターバックのひとり、フランコ・バレージは妻の背負った借金にまみれて数千万ユーロを失っています。ロッシさんも書いているように、ミランの歴史において最高のディフェンダーだった彼は、自分の人生を守れなかったのです。でも、彼にはミランがあって、クラブ史上の「キャプテン中のキャプテン」だった彼は、U18の監督として仕事を続けることができている、というのは救いだな、と感じます(p.129-)。FWタイプの選手には破格的破滅型の選手が多いと思っていたのてすが、バレージみたいな偉大なディフェンダーも…というのは恥ずかしながら知りませんでした。

 最後の旅行案内もいいんですよ。

 ぼくはまだ、合計3週間程度しかイタリアで過ごしていません。滞在したのも、ローマ、フィレンツェ、ミラノだけです。南は行ったこないんですが、イアリア語の勉強は続けていきたいと思うし、本当にゆっくりイタリアを旅したいと思います。

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