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December 02, 2008

『宇宙論入門 誕生から未来へ』

Universe

『宇宙論入門 誕生から未来へ』佐藤勝彦、岩波新書

 ビッグバンモデルのインフレーション理論を世界に先がけて発表した業績で知られる佐藤勝彦さんの宇宙論が岩波新書から出たということでさっそく読んでみました。

 この手の本は、ビッグバンを説明するだけでだいたい終わってしまうのですが、『誕生から未来へ』という副題の通り、100兆年ぐらい先の宇宙がどうなっているか、というところまで描いていてくれているのが嬉しいですかね。もちろんビッグバン直後の10-44秒(10のマイナス44乗)という極端な短い時間に重力が発生し、10-36秒で色の力が誕生し(大統一理論)、10-11秒で弱い相互作用が誕生し(電磁統一理論)、10-4秒で量子色力学の相転移が起こるという話も、学術史から説き起こしてくれていますから、ぼくのような素人にも「分かった気」にさせてもらえます。

 また、超ひも理論を元にしたブレーン宇宙モデルに関しても、整理して書いてもらっている感じがして同じように「分かった気」にさせてもらえるのが嬉しい。

 ここでは重力を量子論的に扱わなければならないエネルギーが何桁も低くなる可能性がある。通常その限界はプランク・エネルギー(10の19乗ギガボルト)とされるが、ブレーン宇宙モデルでは、最新の粒子加速器LHC(大型ハドロン衝突型加速器)で達成されるエネルギー(テラ電子ボルトの桁、テラ=1000ギガ)より低くなる可能性も指摘されている。もしそうなら、LHCで加速された粒子の衝突で小さなブラックホールが形成される可能性がある。加速器で作られたブラックホールは、直ちに大量のいろんな粒子を放出して消えるであろう(ホーキングによるブラックホールの蒸発理論)。このような特異な現象が発生すれば、容易に発見されるであろう。ホーキングは東京大学での講演で「LHCでブラックホールが発見されたら私がノーベル賞をもらうことになるだろう」とジョークを飛ばしている(pp.110-111)。


 なんてあたりもジャーナリスティックでいいなぁw

 また、将来の宇宙として暗黒エネルギーも消え、核子の崩壊によって原子核も消えると《通常の物質世界が消滅し、光子、ニュートリノ、電子、陽電子だけの宇宙になる》(p.167)なんてあたりもセンス・オブ・ワンダーを感じさせてくれます。

 素人ですので、カラビ・ヤオ空間とブレーン(膜)宇宙のモデル図も初めて見て興奮しました(p.189)

 ハッブル宇宙望遠鏡の後継機とされるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げは2013年に迫ってきていますし、日米欧の研究者によって口径30メートルの地上望遠鏡の計画も練られているそうで、いろいろ楽しみであります(p.151)。

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