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December 30, 2008

『波乱の時代 特別版 サブプライム問題を語る』

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『波乱の時代 特別版 サブプライム問題を語る』アラン・グリーンスパン、山岡洋一(訳)、日本経済新聞社

 今年9月に米国などで発売された『波乱の時代』のペイパーバック版に付いてきたサブプライムローン問題に関する「あとがき」 を日本語訳した60頁程度のブックレット。

 残念ながら時事的にはベアー・スターンズの救済までしか押さえておらず、9月のリーマンショックについてはふれられていなませんが、しかし、なぜ、このような問題が起こったかについては、その当時までに観察された事実の水準でも明らかになっているので、改めて頭を整理するためにも読んで損はないかな、と。

 グリーンスパンはサブプライム・モーゲージが原因になっていなければ、他の金融商品か市場で問題が発生していたろう、といいます(p.10)。問題は世界的にリスクが割安に振れすぎていて、トリプルCのジャンク債がアメリカの国債の利回りを4%しか上回っていなくなっていた、などであると(02年の段階ではこの差は23ポイントあったそうです)。

 リスクがここまで割安に振れすぎれば、いずれ、リスクを回避しようとする人間本来の性格と衝突するようになり、危機が起きるのは必然だった、と(p.39)。そして危機が起こる前には、分散投資によってリスクを回避できるという理論が定評となっており(p.35)、高リスクのポジションを積み上げていっても、大洪水が起こる前に解消できると考えていたわけです(p.40)。そして多くのほとんどの人が間違った、と。

 ベアー・スターンズの救済に関しては、FRBは金融システムの崩壊か、最終的には政府が債権者を保護してくれるというモラルハザードが崩れるという地獄に通じるふたつの道のうちひとつを選ばざるを得なかったとしていますが、こうした措置はめったに行わないようにしなければならない、と珍しく断定的に語っており、リーマン・ブラザースの破綻が示唆されているように感じます。

 《経営困難に陥っても政府の支援が得られると予想されるようになって、本来の信用力だけで判断された場合よりも低い金利で資金を調達できるようになる》(p.46)からダメなんだ、というわけですね。

 まあ、後付の理屈はいくらでもつくでしょうが、まだ今後十年にアメリカの長期金利が上昇し、アメリカ国債の利回りが10%をうかがう展開になる、という予想は変わらないんでしょうかね(p.57)。

 個人的には資産運用に日本国債だけでなく、アメリカ国債というのも考えなければならないかな、とは思いましたが。

 あと個人的に一番、スゴイご託宣だな、と思ったのは、以下の部分です。金融システムの100年に一回の危機には中央銀行が担うこと。なぜなら、商業銀行は百年に一度しか必要にならないほどの資本を、いつも備えることに強く抵抗し、

 

百年に一度の事態が起これば、破綻するリスクをとることを好んでいるようだ。

 素晴らしい!これぞ金融資本の秘密中の秘密、という感じがします(p.46)。

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