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November 14, 2008

『アンドリュー・ワイエス-創造への道程』

Christinas_world_andrew_wyeth

 アンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth)の作品を最初に触れたのは高校2年の頃だった。アメリカの現代美術を集めた画集の中で『クリスティーナの世界』(1948)があって、まあ、なんというか、感動した。東芸のファイン系に行った友人から「テンペラで描いているんだぜ」と教わりましたが、その他にはまったく何の情報もなかったので、ぼくは女性が結ばれない恋人のいる家を見ながら泣いている後ろ姿なのかな、と思ったけど、とにかく、寒々しい風景が印象に残りましたね。
 
 描かれているクリスティーナはポリオで足が不自由で、いざりながら家に戻る途中を描いたと知るのは、最初に見た時から10年以上たっていました。しかし、不思議と違和感はなかった感じがします。

 圧倒的な孤独感という印象に変りはなかったから。

 とはいっても、あまり熱心なファンでもなかったのですが、とりあえず『アンドリュー・ワイエス-創造への道程』いってきました。

 『クリスティーナの世界』に描かれているのはオルソン家の家。足の不自由なクリスティーナとそれを支える弟アルヴァロが二人で住んでいた家です。今ではなんでも合衆国政府によって保存されているとのことですが、大自然の中で佇んでいる風情はなんともいえません。

Anndrew_wyeth_emotion_and_vreation

 今回は"創造への道程"というサブタイトルがつけられている通り、完成に至るまでの習作も同時に展示されているのが興味深いです。

 残念ながら完成品の『クリスティーナの世界』は見られませんが、それでも『クリスティーナの世界』で印象的な彼女の手つきを描いたスケッチを見ることができて嬉しかった(死の直前のクリスティーナの人物画もあったのですが、弟と同じように鼻の大きな女性でした。まさか、クリスティーナの顔を見られるとは…)。

 あと、ワイエスは水彩画家としてデビューしたのですが、水彩画、ドライブラッシュとも迫力満点。「水彩は自由だ。どうしても深みを出したい時だけテンペラで描く」というインタビューも流されていて納得です。

 まだ現役で毎日描いているというワイエスの『雪まじりの風』(1953)、『粉挽き小屋』(1962)という50年代、60年代の作品から『火打ち石』(1975)、『三日月』(1987)、『ドアベル』(1990)まで半世紀以上、かわらないモチーフの作品を見ることができます。

 それは簡単に言ってしまうと身も蓋もない言葉なのですが「自由」だと思います。

 言葉でいってしまうと簡単すぎるから、ワイエスはずっと「自由」を描いているのかもしれませんね。なんて。

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