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November 18, 2008

『談志映画噺』

Danshi_eiga_hanashi

『談志映画噺』立川談志、朝日新書

 立川流の家元、談志師匠がハリウッド黄金期を中心に見てきた映画について語りまくる、という内容。

 なにせ贔屓の女優さんがジューン・アリソンJune Allysonっていうんですから年季が入ってます。淀川長治さんがどこかで書いていましたが、進駐軍の兵隊さんに一番人気だったのがジューン・アリスンだったそうで、当時の人気ぶりがうかがえます。また、家元はモンローみたいな肉感的な女優さんは苦手とのこと。

 この本、何がスゴイって、噺なんです。かなり変えちゃってる。なにせ家元、資料をみないと公言してるから。

 『絹の靴下』の語りで、シド・チャリシーにからんでくる3人組について《一人はピーター・ローレ、もうひとりがジュールス・マンシンでしょ、あともうひとりがジョセフ・バロフ? えーと、家元はね、記憶力は凄いんだけど、資料ってもんを見ないで書いているので不完全さにおいても、これまた凄い》(p.74)

つまり噺なんですな。

 村上春樹さんが『アフター・ダーク』で、『ある愛の詩』のストーリーを微妙に変えて登場人物に話させるんだけど、そんな感じで、自分の中で変えちゃう部分もあるのかもしれない。でも、問題ないでしょ。噺なんですから。個人的には全然オッケー。紹介している作品の中にも見てないで聞いただけってのもあるぐらいですから。もう名人芸ですな。

June_allyson_in_high_barbaree_trail

 ジューン・アリスンに関しても夫ディック・パウエルがアリスンを「彼女は私の女房です。素晴らしい人で、その証拠に、あのジェームズ・スチュワートが三度も女房にしたのですから」と紹介したというエピソードを披露してくれたのに、《この映画三本、言えます?『甦る熱球』と『グレン・ミラー物語』('53)と…》とだけで肝心の『戦略空軍命令-Strategic Air Command』(1955)をあげないとか、まあ、やりたい放題。

 でも、『大いなる幻影』でジャン・ギャバンたちが収容される房が十七房で、ビリー・ワイルダーはそれにオマージュを捧げて『第十七捕虜収容所』をつくったんじゃないかなんて和田誠さんも知らなかったような話も披露してくれる(p.136)。

 あと、こんなところもいいなぁ。

 《エロール・フリンは根っからの冒険好きなのか、スターになってからもスペイン戦争に行ったり、キューバ革命でカストロに会いに行ったりしていた人。血が騒ぐのかね》(p.171)

 懐かしい映画が好きな人にお勧め。

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Comments

戦略空軍命令
DVD出てないんだよね。
昔テレビで見て、最近懐かしなって探したんだけど...........。

Posted by: 小杉 | November 19, 2008 at 03:00 AM

ジェームズ・ステュアートってずっと予備役で准将にまで昇進しているんですってねぇ。wikiで調べたら驚きましたw

Posted by: pata | November 19, 2008 at 08:26 AM

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