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October 18, 2008

『スーパーカーファイル 2』

Super_car_file_2_2

『スーパーカーファイル 2』福野礼一郎、双葉社

 『世界自動車戦争論 1』で日産のGT-Rを《こんなに思い切りのいい機械を日本人が作ったのは太平洋戦争にボロ負けして以来初めてじゃないかな。こいつは零戦ですよ。(p.8)》とベタ褒めしていた福野さんですが、『スーパーカーファイル 2』ではフェラーリ365GT/4BBやランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ、アウディR8などを押さえて冒頭からいきなり「GT-R工場見学」。しかも、エンジン、トランスアクスル、最終組立てと3工場をまわる徹底ぶりで「GT-Rはかくしてつくられる」みたいな雰囲気。

 ただし、『クルマはかくしてつくられる』とは違い、「GT-R工場見学」は3点の写真のみしかグラフィックがないので、例えば、GT-RのエンジンであるVR38の構造に関するこういう文章も、なかなか読み解き辛い。

 クランクシャフト軸の中心でケースを切ったいわゆるハーフスカート構造で、下部からはメインベアリングキャZプと構造部材を兼用するダーフレームが締め込まれてクランクシャフトを保持する。力学的にいうとクランクセンターでケースが上下に分割された構造。、ケース剛性もクランクシャフトの保持剛性も高くなる。

 うー、わかんねw

 でも、まあ、ガマンして読んでいけば、軽量化のためにアルミ合金でつくったシリンダボアに低炭素鋼をプラズマ溶射して内部に鉄の被膜を形成するとか、V型レイアウトは強いGがかかるとヘッドからのオイルリターンが悪くなるが、VR38ではオイル通路の形状を工夫したクロスオーバーリターンによって逆流を防いでいるとか「とにかく、なかなかすごいことわやってるわな」という感じが読み取れていきます。工場の責任者の「480馬力出てないものは一基たりとも出荷してませんよ」という言葉も頼もしい。

 トランスアクスルの使われるギアに関してもいったん切り出されたギアは、熱した炭化水素ガスの中に投入して炭素をしみ込ませる浸炭を行い、130度の油に投入して急冷する「焼き入れ」をされ、それをもう一度200度の炉に入れて粘りを出すために「焼き戻し」、最終的には小さな鉄球をぶつけるショットブラストで材料表面に「圧縮残留応力」を付与するという(p.30)という念の入れ方には恐れ入りました。《これが人間が100年かめてメイク&トライの末に編み出した、高強度の鉄鋼部品を作るひとつの技術である》わけなんですね。日本のクルマは安いわ。

 こうした零戦みたいな日本製スーパーカーに対して、ブランド力だけで売ってきた感のあるヨーロッパ勢はどう対応するのか?なにせ、GT-Rはドイツ・ニュルブルクリンクサーキットの走行テストで7分29秒を記録し、量産市販車として初めて7分30秒の壁を突破したわけですから。ポルシェターボが7分40秒、ガヤルドのノーマルクーペ7分55秒で、エンツォなどはタイムアタックすらしていないというんですから(ちなみに1億円のマクラーレンF1でさえハッキネンを載せて7分11秒、5000万円のポルシェ・カレラGTでも7分28秒)。

Super_leggera

 しかし、さすがにヨーロッパ。考えています。それは軽量化。ハイテク勝負ではかなわないからボディサイズを小さくして軽い1tのスポーツカーで勝負する。それならコンセプトからして4座でつくらざるを得ないポルシェやGT-Rに勝てる、というんですな(p.195)。ここは面白かった。

 ちなみに、ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラの「スーパーレジェーラ」は超軽量の意味。この名前を冠した最も有名なプロダクツはGio Ponti作の椅子Superleggeraでしょうね。福野さんではありませんが、この名前はフェラーリの1tスポーツにつけてもらいたかった…。

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