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October 01, 2008

『日本海軍、錨揚ゲ!』

Japan_navy

『日本海軍、錨揚ゲ!』阿川弘之、半藤一利、PHP研究所

 元海軍大尉だった作家の阿川弘之さんが、半藤一利さんを相手に二日二晩かけて旧帝国海軍について語り合った本。

 旧海軍の軍艦の名前には昔の国とか山や川の名前が多くて「みんな待合いの名前じゃないか」と思うぐらい優雅だったみたいな話から始り、海軍大学校入試問題が、非常に柔軟な思考能力を求められたものが多いとか(例えば「3を3回使って0から10間での数字をだせ。あらゆる記号を使ってよい」とか。この答は3!-3/3=5、3.3*3=9.9≒10などなかなか見事。第2話)。さらに、素早く岸につけるのは館長の腕のみせどころだそうですが、なぜかというとか、艦隊が一斉に入港する場合でも、ピタッと岸につけることができれば水兵さんが一番に上陸でき、よりどりみどりで女性が選べる、ということらしいです。駆逐艦風雪は沈まない船として有名で、しかもマリアナ沖、レイテ沖、大和特攻に出ても戦死ゼロだったというレコードを持っているのですが、その理由のひとつが、ブイにつけるのが一番早かったからだといいます(第10話)。

 あと、阿川さんは敵信傍受部隊所属で、海戦では「負けたほうが必ず多くの電波を出すんです。救助依頼電報とか、なんだとかね」ということらしいんですが、マリアナ沖海戦ではアメリカ側からは何も出ず、味方の暗号電報はワンワン入ってくる、という状況だった、というあたりはリアリティありました(第3話)。

 しかし、なんといっても考えさせられるのは「第22話 大本営発表の嘘のすさまじさ」大本営発表での敵艦撃沈数を合計するとアメリカ海軍は空母 97隻、戦艦36隻、巡洋艦219隻、駆逐艦149隻、潜水艦305隻を沈めていることになっているのですが、実際は、空母10隻、戦艦7隻、巡洋艦10 隻(重巡洋艦7隻、軽巡洋艦3隻)、駆逐艦57隻、潜水艦56隻だそうで、しかも終戦時のアメリカ海軍の戦力は空母138隻(正規30隻、護衛108 隻)、戦艦33隻、巡洋艦75隻(重巡洋艦26隻、軽巡洋艦49隻)、駆逐艦880隻、潜水艦262隻だった、と。

 一方、終戦時の旧帝国海軍の保有戦力で動ける空母は鳳翔1隻だけだったというのですから、お話になりません。駆逐艦も131隻喪失で残ったのは36 隻しかなかったというんですから、阿川さんではありませんが「あわれだなあ」「駆逐艦乗りなんてかわいそうだなあ」という感じでしょうか。

 しかし、逆に、これだけの戦力でウチらのお爺ちゃんたちはよく頑張ったもんだな、という感じもしないわけではありません。

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