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October 20, 2008

『臨床瑣談』

Rinshosadan

『臨床瑣談』中井久夫、みすず書房

 《しがらみのなくなった老医》として院内感染に対する患者の自己防衛策、昏睡状態の患者のサルヴェージ方法(これは本当に可能みたいでスゴイ)、丸山ワクチンの入手方法とワクチンに対する肯定的な評価(大学の医学部教授がガンにかかると、助教授が身分を隠してもらいに行くらしい)などを書くという、素晴らしい企画。07年7月から『月刊みすず』に不定期連載しているもののうち、08年5月の分までをまとめたもの。あまりにも素晴らしかったので、バックナンバの2008年7月号、9月号、10月号も申し込んでしまいました。

 今回は「1 虹の色と精神疾患分類のこと」「2 院内感染に対する患者自衛策試案」「3 昏睡からのサルヴェージ作業の試み」「4 ガンを持つ友人知人への私的助言」「5 SSM、通称丸山ワクチンについての私見」「6 軽症ウイルス性脳炎についての6篇。

 個人的には数十年間入院したことのない身なのですが、もし入院するようなハメになったら、「2 院内感染に対する患者自衛策試案」にそって鼻うがいをしてメンソレータムを塗り、睡眠薬を出してもらい、プロポリスと乳酸菌飲料を飲むことにします。人体で乳酸菌しかいない清浄度Iの場所は、乳幼児の胃と膣だそうで、産道通過時にデーダーライン桿菌が口に入るらしい。《だから乳酸菌飲料は少量を局所に入れれば膣は清浄になる。これを会社が宣伝しないのは企業イメージをおもんばかってのことらしい(とは一社員の言である)》(p.51)なんていうところもあるらしい。ちなみに中井先生はしっかりした研究所を持っているヤクルトを愛飲しているとのこと。今日から毎日、ヤクルトをしっかりとろうと思いました。

 昏睡状態になっても聴覚は生きているというのは吉本隆明さんの心的現象論などで納得していたが、瞳孔にペンライトで光をあて、足の裏をくすぐるなどの刺激を与え、「言うことがわかったらまばたきをしてください」と語りかけることでサルヴェージした、という実話はすごい迫力。昏睡状態から覚醒してしゃべろうとしても下顎は何百グラムもあるから病人しには大仕事だが、瞼は1グラムしかないというは納得的。昏睡状態の人に辛口の冗談を言ったら怒っててんかんの大発作を起こすこともあるらしい。気をつけないと。

 ガンに関しても素晴らしい話を聞けた。

 海馬などの例外を除きヒトの細胞は障害にわずか40~50回しか分裂しないそうですが(それでも全部を生存させれば何トンかになるとのこと)、ガン細胞は機能を分担する能力はないかわりに無限に分裂する困りもの。しかし、弱点の多い細胞で、ガン化してもわずかな部分が生き乗り、それが3億個になると血液の中に出ることがあるにしても、たいていは免疫系でやっつけられるとのこと。リンパ節に転移したとなると「もうダメだ」という印象ですが、リンパ球系でキャッチされたというのはそこで食い止めているがガンは滅ぼせないという均衡状態らしい。諦める必要はないとのこと。まあ、せいぜいガン細胞を増やさぬよう、ストレスからは極力逃げて、笑いをわすれずにやっていこうと思いました。

 丸山ワクチンは吉本さんもガンになったらもらうと言っていたけど、ぼくもそうなったら貰います。皮膚癌の研究者だった丸山先生の「繊維芽細胞が動員されてガン細胞の塊を囲い込み、やがて繊維化して、ガン細胞が兵糧攻めにあうのではないか」(p.104)という説明は納得的。ただし濃いA液とB液を毎日、交互に注射を受けなければならないが、日曜が休診なのでそこが問題かもしれないというのも印象的な話。プラセボー効果以上のものはありそうだし、尊敬する中井先生も前立腺癌の摘出手術以降は《このワクチンだけで生存している》(p.117)ということなので、もしそうなったら日本医大付属病院に行こうと思います。40日分で9450円だし。

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