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August 31, 2008

『鮨を極める』

Sushi_o_kiwameru

『鮨を極める』早瀬圭一、講談社

 毎日新聞の論説委員だった早瀬圭一さんが東京の鮨屋をめぐり、そこの主人の半生とともに、江戸前の技術、一日の過ごし方、一人前になるまでの道のりなど、鮨職人に焦点を絞って書いた本。単行本は2003年9月が初版ですが、その後『鮨に生きる男たち』と改題、加筆訂正されて新潮文庫にもなっています。しかし、講談社から出して新潮文庫になったというのは、なんかあったんですかね…。

 それはおいといて、内容はなかなかよかったですよ。

 まっとうな人生を歩み、まっとうな仕事を続ける人たち過ごす日常はありふれてはいるけれども、そのバックグラウンドは奥が深いですし、店の「隅石」となっているような親方からの教えなどもシンプルだけど素晴らしい。

 「すきやばし次郎」の小野二郎さんの子どもの頃の話なんか、9歳で料理屋の住み込み小僧に出されたというんですから。その後の軍隊経験も《あんな楽なところはなかった》と思うぐらいの辛酸をなめた日々。戦後、名人・吉野末吉の「京橋・与志乃」に紹介され、本格的な鮨修行を始めるという最初の章から圧倒されます。

 愛する「しみづ」の清水さんが修行したのは「新橋鶴八」の石丸久尊さん。「しみず」のウニはいつもテンコ盛りだし、大トロと中トロ、赤身を入れて巻く太巻きは「新橋鶴八」とその師匠である「神田鶴八」の師岡幸夫さんから考え方まで受け継いでいるからなんですね。ウニをテンコ盛りにするのは、ご飯に乗っけるだけの手間がかかっていないネタで儲けるわけにはいかない、ということみたいですし《鮪を自慢する鮨屋にはなりたくありません》という石丸さんの言葉は深い。石丸さんは佐賀県で生まれたんですが、物心ついた頃には母がおらず、父も病死。東京で仕事を見つけた15歳の長兄と一緒に10歳で東京に出て、勤め先の寮などで暮らします。成績は悪くなかったけど、1961年に九段中学を卒業してすぐに見習い奉公に入ったのが『神田鶴八鮨ばなし』でも有名になった師岡師匠。師岡師匠からは《金は不幸になるのを防いでくれるかもしれないが、いくらあっても幸せにはしてくれない》(p.76)と教えられたそうです。

 鮨屋の値段は高いかもしれませんが、仕入れる魚の価格、かける手間暇などを考えたら、ほとんど利益はでないのかもしれません。

 筆者が"思い描いてきた郊外の鮨屋"と評する「徳助」の原田昭徳さんの一日は5:20に起床して築地へ。7:30には仕入れを終え、8:30には尾山台の店に到着。11:50まで仕込みして、12:00-14:00が営業時間。14:00-15:30まで仕込みの続きを行い、それを終えて近所の珈琲店に。その後、16:00-17:00まで仮眠をとるのが楽しみといいます。さらに18:00-22:00まで夜の営業ですから、後片付けをして帰って寝るのは1:00過ぎという生活。それでも、毎月40万円の家賃ローンを払ってしまえば、親子四人が食べるのは精一杯。貯金などまだ出来ないそうですが、天職だと思っているからやっているとのこと。

 ちなみに、この本を読んで、行きたいな、と思ったのは、この「徳助」です。

 筆者は鮨屋に行くと最初から握ってもらうといいます。出してもらったら、間髪を入れずに口に放り込むというスタイルは同じですが、「酒の肴にする」という発想は、一度だけ、マネしてみようかな、と。

 あと、昼の1時過ぎに行く、というのもマネしてみようかな。

・すきやばし次郎(東京・銀座)
・次郎よこはま店(横浜・関内)
・神保町鶴八(東京・神田)
・新橋鶴八(東京・新橋)
・奈可久(東京・六本木)
・き寿司(東京・人形町)
・青木(東京・銀座)
・徳助(東京・尾山台)
・あら輝(東京・上野毛)
・成田(名古屋・東新町)
・寿し銀(名古屋・御園銀座)
・吉野鮓(京都・先斗町)
・楽家ずし(京都・下鴨)
・司(千葉・我孫子)
・千取寿し(金沢・石引)
・おざわ(東京・銀座)

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