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August 07, 2008

ハイデガー『ニーチェ』#10

 プラトンは『国家』597Cで「ιδεαはひとつ」という議論をさらに進めます。

 ειτε ουκ εβουλετο, ειτε τιs αναγκη επην μη πλεον η μιαν εν τη φυσει απεργασασθαι αυτου κλινην

 ギリシア語的に重要といいますか、踏まえておかなければならないのは、εβουλετοは欲するという意味の動詞であるβουλεμαιの未完了過去形であること。ギリシア語にはいくつか過去形があって、未完了過去形は「繰り返された過去」を表しています。つまり、ずっと神はそうしてきた、と。何をしてきたかというと「ずっと欲しなかった」と。ειτεは「もし~ならば」で、それが二つ続くので、「神はずっと欲しなかったかあるいは自然界に一つ以上の寝椅子をつくらない必然性があったか」という意味になります。

 δυο δε τοιαυτοι η πλειοs ουτε εφυτευθησαν υπο του θεον ουτο μη φυωσιν

 「そのような二つのもの(ιδεα)は、神によって造られなかったし、これからも出現しないだろう」と。

 ハイデガーの講義を受けたいな、と思うのは、展開力といいますか、逃げずにテキストの言わんとしているところを突き詰めていく迫力だと思います。

 ハイデガーは《存在をιδεα-観における現在-とする解釈は真理をαληθεια-塞がれていないこと-とする解釈を前提としている》とした後、《存在者の存在をιδεαとするプラトン的解釈の絶頂にいたって、ただちに次の問いがめざめる。個々の事物のそれぞれの領域、例えば寝台について、なにゆえに神はそれぞれひとつのιδεαだけを立ち現せたのか》とたたみかけます。

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