『環境問題のウソ』
『環境問題のウソ』池田清彦、ちくまプリマー新書029
読む本をカバンに入れるのを忘れて家を出たので、途中の本屋さんで見つけてサクッと読んでみました。
奥付を見ると2006年2月というのですから、2年前の本。
内容といえば、『環境危機をあおってはいけない』ロンボルグ、文藝春秋刊などのアンチ温暖化論者の本を元に、地球の気候変動の大部分の原因は黒点活動など太陽にあることを改めて強調し、単純な二酸化炭素悪者論というのはいかがなものでしょうか、と疑問を投げかけている本。
正直、気候変動について熱く語る方々の論拠というのはあまりアテにならないんじゃないかと個人的には思っています。だいたい、公平に白黒をつけるジャッジがいないまま、やりあっている感じで…。
個人的には大都市のヒートアイランド対策だけで十分じゃないかと思っていますが、「CO2うんぬんというのにはついていけないけど、省エネやゴミ削減につながるんもので安くあがるんだったらドンドンやれば?」ぐらいな感じでしょうか。
この本にもいろいろ環境問題の原理主義者みたいな方々からは憎悪に満ちた批判が浴びせかられていますが、p.51のこの指摘だけは重要だと思っています。
どう考えても地球温暖化なんて大した問題じゃない。大変だ大変だと騒いでお金が儲かる人ならばともかく、そうでない僕は、他人の金儲けを助けるために、快適な生活を犠牲にしたりよけいに税金をとられるのは勘弁してもらいたいと思う。そこまでお人好しの人は普通の日本語ではバカって言うんだよね
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Comments
公害から環境に変わったときに、相当胡散臭さが漂いはじめたというのは、普通の人の普通の感覚ではないかとは思います。ただ、サイエンスの問題を論破するときに、政治的言説・アジテーションが加わると、もったいないです。
バランスの取れた判断をするには、中西準子先生の『環境リスク学』は必読だと思いますし、武田邦彦氏の主張についても、語っておられますね(http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak411_415.html#zakkan412)。
そして、環境問題は社会問題だというときに、それが解決できないのが人間の非合理生ではなく、合理的行動に即して理解することも必要なのでしょう。小島寛之『エコロジストのための経済学』は勉強になりました。
Posted by: hisa | June 04, 2008 12:20 PM
いやー、本当に環境原理主義の方々はちょっと「胡散臭い」ですよねぇ…
それと、ご紹介していただいたHPに書いてあるように、環境原理主義の方々は「やや常軌を逸するコメント」が続くのが特徴なんでしょうかね…いやはやw
ぼくは単純な科学万能主義者ですから、環境問題などはいずれ科学がサクッと解決できると思っております。
Posted by: pata | June 04, 2008 12:34 PM
この本は読んでいないのですが、最近の料理番組で、
「この方法でやれば料理時間が10分短縮されるので
CО2の削減になります。」と言っているのなんかを
みると、ちょっと?な気持ちになります。
Posted by: しまじろう | June 07, 2008 11:11 AM
しまじろうさん、どーも
今日もテレビでエコ番組が長時間、しかもふたつのチャンネルで放送されていますが、なんなんですかね…危機感を煽ると視聴者が恐怖を感じるから視聴率が伸びるという「血まみれならばトップニュース」的な発想なんでしょうかね?
まあ、テレビで煽るぐらいは可愛いと思いますが、不気味なのは「環境金融(EnvironmentalFinance)」。まさに「温暖化」がカネになるとばかりに、またもや土俵を勝手に設定されて、税金でCO2排出権を買わせようというような空気をつくりあげるタメじゃないのか…なんて邪推してしまいます。
ちょっと猫も杓子も「環境保護」じゃ逆に不気味だわな、と勝手に思っています。もちろん、ヒートアイランド対策なんていうのは、どんどん進めてもらいたいんですが。
Posted by: pata | June 08, 2008 06:13 PM