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May 05, 2008

『春宵十話』

Shunshou_2

『春宵十話』岡潔、光文社文庫

 数学のことはまったくわかりませんが、岡潔さんの清々しい生活ぶり、人柄についてはいろんな本で読んできました。

 ここで簡単に清々しいと書くと、岡潔さんの抱えていたであろう病みたいなものを軽く考えすぎているのかもしれないし、研究のための貧乏がどれほど厳しい生活であったことにも無頓着すぎるのかもしれませんが、こうした人が実際に世捨て人のように生きていて、そこに毎日新聞の記者が訪ねて、聞き語りを残したということ自体が、見事な結晶をつくっているように感じます。

 多くの人が読んでいるであろう有名な文章が残っています。

 よく人から数学をやって何になるのかと聞かれるが、私は春の野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。咲くことがどんなによいことであろうとなかろうと、それはスミレのあずかり知らないことだ。咲いているのといないのとではおのずから違うというだけのことである(p.33)

 高尚な話ばかりではなく、岡潔さんが語っていることでハッとしたのが丸暗記の力は《練習してのばすとすれば中学三年生ごろが適当で、あとではのびないものだ》(p.24)といったあたり。これは『進化しすぎた脳』で池谷祐二さんが語っていたこととほぼ同じだな、と思いましたし、発見に至る心理過程はポランニーの暗黙知の話だな、思いました。

 たまには心の森林浴みたいに、こうした本を読むのもいいかな、と思います。

Oka_kiyoshi_jump

 あと、右の写真はジャンプしている岡潔さん。見上げているのは《和歌山の小さな村に住んでいた岡さんの近所の家の犬》(『芸術人類学』中沢新一、p.27)だそうです。

 いいなぁ。ぼくもこれぐらいの歳になっても、老人性鬱から解放され陽気な時には、犬とジャンプしたいです。

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