« 「そば切り・のなか」 | Main | OlympusのLS-10を購入 »

May 19, 2008

『古代から来た未来人 折口信夫』

Kodai_kara_kita_miraijin

『古代から来た未来人 折口信夫』中沢新一、ちくまプリマー新書

 新書業界の最近の傾向のひとつは薄さでしょうか。

 岩波新書なんかはまだ240-250頁モノが多いですが、ちくまプリマー新書や日経プレミアシリーズなんかは薄いです。この『古代から来た未来人 折口信夫』なんか143頁ですもんね。その分、重い紙を使ってボリュームは維持しているんですが。まあ、これも活字離れの現れのひとつなんでしょうね。

 さて、この本のこと。

 中沢新一さんは折口信夫が《人間の思考能力を、「別化性能」と「類化性能」のふたつに分けて考えている。ものごとの違いを見抜く能力が「別化性能」であり、一見するとまるで違っているように見えるもののあいだに類似性や共通性を発見するのが「類化性能」》(p.18)であると考えていたとします。このモチーフは『カイエ・ソバージュ』で明らかにされ、『芸術人類学』などで展開されている対称性人類学そのもの。

 そして折口信夫は古代日本人の考えていた神概念は《増えたり減ったりする》タマ、つまり精霊であるとしていますが、これも『三位一体モデル TRINITY』で展開されていたモチーフ(p.22)。

 こうしたふたつの方向性の源には折口信夫がいた、ということなんでしょう。そして折口が降りようとしていたのは古代日本というよりも、新石器時代の人間というか、それこそ「野生の思考」そのものなんだということが中沢さんの言いたいこと。

 戦後、折口信夫が「神道の宗教化」を考えていた先には、吉本隆明さんのアフリカ的段階の概念や、アメリカインディアンの「グレート・スピリット」が見えていたとして、重視していた「ムスビ」の神は自由な精霊そのものではないか、ということが本の結びになっています。

|

« 「そば切り・のなか」 | Main | OlympusのLS-10を購入 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/41253536

Listed below are links to weblogs that reference 『古代から来た未来人 折口信夫』:

« 「そば切り・のなか」 | Main | OlympusのLS-10を購入 »