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May 13, 2008

團菊祭五月大歌舞伎 白浪五人男またはギニュー特戦隊

Kabukiza200805b_handbill

 今月は午後の部を見物しました。出し物は『青砥稿花紅彩画』(あおとぞうし はなの にしきえ)と『三升猿曲舞』(しかくばしら さるのくせまい)。

 『青砥稿花紅彩画』は白浪五人男といった方が通りやすいかもしれません。

 『青砥稿花紅彩画』は有名な場がふたつあります。ひとつは女装した弁天小僧が騙りにきた「雪の下浜松屋の場」で、正体がバレて居直る場面。「知らざあ言って聞かせやしょう 浜の真砂と五右衛門が歌に残せし盗人の、種は尽きねえ七里ヶ浜、その白浪の夜働き…」という口上が素晴らしいし、妖しさ爆発。もうひとつは稲瀬川で勢揃いした白浪五人男か勢揃いした名乗りの場面。日本駄右衛門の「問われて名乗るもおこがましいが」から、南郷力丸の「さてどんじりに控えしは」までの「連ね」。なんつうか、まさにエンタテイメント。

 いろいろサイトを探していたら、wikiでもそうなんですが、白浪五人男は「戦隊もの」のルーツだというんですね。

 そういえば、戦隊ものは必ず5人。白浪五人男も当然5人。

 あ!ドラゴンボールのギニュー特戦隊も5人です。

 ドラゴンボールでいえばボスのギニューは日本駄右衛門。姫にも化けられるほどの美貌の持ちである弁天小僧はジース、力持ちキャラの南郷力丸がリクーム、地味な存在の忠信利平がバータ、こういう弱そうなキャラがいないと話が膨らまない赤星十三郎がグルドかな、と。テレビの戦隊モノではレッド、ピンク、イエロー、ブルー、グリーンに相当します。テレビでは"新劇化"が進んでいるので、ピンクは女性が演りますが、ここはドラゴンボールのように女にも化けられるぐらいのイイ男が演じてほしいところ。それを考えると、さすがですよね、鳥山明さんは。

 そういえば、ギニュー特戦隊も戦闘の前には必ずポーズを取って見栄を切りますが、これも稲瀬川で名乗りを上げるシーンに影響されているんでしょうかね。これから戦闘開始というのにスペシャル・ファイティング・ポーズをとったり、追っ手から逃げようとしているのに派手な紫を基調にした着物に揃えて「志らなみ」の字を染め抜いた番傘を振りかざして名乗りを上げようっていうんですからまさに、これぞケレン味。

 いやー、日本の文化に歌舞伎というのは本当に大きな影響を与えていますよね…。

 で、肝心の舞台ですが音羽屋(七代目 尾上菊五郎)さんの弁天小僧がいいんですよねぇ。正体がバレて、もろ肌ぬいで刺青を見せ、大あぐらをかいてタンカをきるんですが、途中で「暑くてこんなものは着ていられねぇ」と帯を解いて着物を脱ぎ、深紅の長襦袢の裾をまくって風をいれるところなんかは、実はStripteaseの要素を入れたのかもしれません。昔なら女性の見物がキャキャー言って喜んだところなんじゃないでしょうか。いま最も美しい女形でもある息子の菊之助さんなら妖しい魅力爆発でしょうが、菊五郎さんの弁天小僧も大人の色気がたっぷり残っているのが素晴らしい。

 あと、最後に藤綱が日本駄右衛門を見逃すところですが、その理由にするのが放生会(ほうじょうえ)。

 放生会は『双蝶々曲輪日記』の「引窓」でも重要なモチーフになっていますが、生き物を逃がして善根を積むというのは庶民の夢なんだな、と改めて思います。あるいは権力者も自分が定めた法の限界を知っているといいますか、元をたどっていけば、根拠はないということに想いをいたしているといいますかね。なんで藤綱が出てくるのかということについては、地元のヒーローでもありますし、北条氏がさかんに放生会を行ったということも踏まえているそうで、なかなか深いものがあります。

 ということで、幕見なら1,100円で「雪の下浜松屋の場」から「滑川土橋の場」まで見られます。あるいは2,500円払えば、通し狂言で見られる上に、松緑さんの踊りも堪能できるんですから、ぜひ!

 もう、ほんとに、ぜひ!

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