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April 02, 2008

『最後の自動車ロン』

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『最後の自動車ロン』福野礼一郎、双葉社

 「あとがき」で本人が書いているように「福野礼一郎過去ログ選集」としての『自動車ロン』シリーズはこれにて終了。

 なんとなく全体的に薄めなのはいなめませんでした。

 でも、印象的な言葉にも出会えました。

 それは、この言葉。


礼一郎 ハイアール(日本進出の中国家電)の女社長がこんなことを言ってたな。「企業の財産はブランドである。その他すべては負債に等しい」。いやまことに卓抜した見識よなあ。たったひと言で21世紀型企業経営の真のポイントを一突にしている。「売るのはブランドだ中身なんか何だっていい」。これを貫くのが21世紀を生き残るために必要な企業経営理念であり、そいつをふんづかまえて「寝ぼけんなこのクソ野郎」というのがオレらの評論理念でなくてはいけない。この理屈が分ってねえヤツはどっちの側にしていても地獄に落ちる。(「フォルクスワーゲン試乗」p.136)

 ということで、5月に出る最新作のタイトルは『世界自動車戦争論1 ブランドの世紀』だそうです。

 いやー、ここ読んだだけでも、『自動車ロン』シリーズ読破した甲斐がありました。ここまで明確にスパッといわれると素晴らしい。まさに《間違った思想でも、大胆にそして明晰に表現されているなら、 それだけで十分な収穫といえる》(ウィトゲンシュタイン『反哲学的断章』青土社)という感じ。

 と、同時に、ゴルフも買ってもいいなぁぐらい思っていたのですが、《やっぱ日本のお客さんは「ゴルフ神話」ですから。本当はポロが昔のゴルフで、今のゴルフは昔のパサートなんですけどね》(p.136)というのを地でいってたわけで面目ありませんw

 福野さんの書き方ではこんなところも好きだな。《(ガラスの材料の珪素は)シリコンですよ。地球上にいちばん沢山ある物質。これを2200度に熱すると溶けて特殊な結晶構造で固まる。無結晶だから石みたく光が屈折しないし、自由電子も飛び回っていないから金属みたく光を遮断せず、つまり、光はそのまま通過する》(p.61)。

 硬質だけど危うさも合わせもつ福野さんの文章を説明しているような感じです。

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