Born to run 30年ぶりの解読
恥ずかしながらブルース・スプリングスティーンの”明日なき暴走”は結構、聴いていました。流行った直後というより、何年もたって大学に入ったはいいけど目標を失ってヤサぐれていた頃でしょうかね…。ぼくは安部公房さんではありませんが、当時から音楽の良き利用者でありまして、高いレートの雀荘にフリーで打ちに行く前に景気づけというか気合いを注入するために聴いていました。こうしたギャンブルの前に気合いを入れるのには、これかショスタコーヴッチの五番の第四楽章ですね、聴いたのは(もちろん愛するレニーのLive盤で)。
それはいいんですが、どうしても意味がとれなかったところあったんすよ。それは3番というか、メロディがちょっと変わるところ。
Beyond the Palace hemi-powered drones scream down the boulevard
このhemi-poweredがどうしても意味とれませんでした。
当時はもっとダメな辞書使っていましたが今のリーダースあたりでも、hemi-poweredなんて載ってません。接頭語では〝半〟という意味なので、例えばBruce Springsteen & The E Street Band LIVE 1975-85の対訳でも「宮殿の向こうでなよなよしたのらくら者たちが大通りを叫んでいく」とかわけ分らない日本語が並べられています。
インターネットを捜しても、意外と自分の邦訳を載せている人は少なく「宮殿の向こうの大通りを怠け者たちが叫んでいく」というのがあるぐらい。
でね、フト思いついたんですわ。
これって、クライスラーのバラクーダの「ヘミ・エンジン」搭載車じゃないの、と。3週間ぐらい前に読んだ『いよいよ自動車ロン』福野礼一郎、双葉文庫にヘミって言葉があったな、と…。
バラクーダの「ヘミ・エンジン」搭載車は425馬力を発生させる当時としてはモンスターマシン。ここでクライスラーと書くのは気分が出ないのかもしれません。福野礼一郎さんにならってモーパー(Mopar)と呼んだ方がいいかも。モーパーとはクライスラーの販売代理店「クライスラー・モーター・パーク」の略だそうです。で、モーパーのヘミ・エンジン搭載バラクーダはヘミ・クーダと呼ばれていたらしい。
「ヘミ・エンジン」とは「ヘミ・スフェリカル・ヘッド(Hemi-spherical=半円球形燃焼室)にして排気/吸気を拡大したエンジン」だ、と。
さらにNew JerseyにはNew palaceというハイウェイの出口もあるらしい。
そうなると、ここは
「ハイウェイの向こうでは、ヘミ・クーダの爆音が道を切り裂いている」ぐらいじゃないかな、と。
'70ヘミ・クーダは映画『バニシングポイント』にも出ているそうで、ちょうどブルース・スプリングスティーンがニュージャージーでヨタッていた頃の風景に重なるかな、と。
"Mopars in Music and Song"というサイトに"Born to run"が入っていたので、たぶん正解だと思うんですが、改めて考えてみると、ブルース・スプリングスティーンにはダッジが似合うのかもしれませんね。
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