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March 29, 2008

『自動車ロン 頂上作戦』

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『自動車ロン 頂上作戦』福野礼一郎、双葉社

 『自動車ロン』シリーズの4作目。中古車雑誌『くるまにあ』でコーナーを持っていた「TOKYO中古車研究所 TM」の連載をまとめたものです。本当はカラー写真などを豊富に使った豪華版で読んでみたいと思いますが、まあ、仕方ありません。

 『自動車ロン』シリーズは今思いますと、3作目の『いよいよ自動車ロン』に収録されていた「21世紀基準とは何か?」でピークを迎えていたと思います。福野さんは21世紀基準として「最適化技術」をキーワードにもってきます。物理法則を考え抜いた上で合理的なパッケージをつくり、その中で相反する要素(ボディ剛性と軽量性、耐久性と味など)をコンピュータシミュレーションを駆使して高いレベルで両立させる、という。それを具現しているのは、例えばセルシオだ、と。有限要素法(Finite Element Method; FEM)や境界要素法(Boundary element method; BEM)などの解析手法をつかってプロセス全体での最適化を追求するのが21世紀の機械世界だというんですね。それに対して20世紀のクルマづくりはマクラーレンF1とベンツ500E(W124)で頂点を極めたけど、それは過剰品質を追求してのことで、最適動作まではシミュレートできなかった、と。

 素晴らしいご託宣(Oracle)ですが、これ以降、福野さんの文章は、あきらめ感が漂うことになります。

 だってクルマメーカーが完璧にシミュレートしているんだったら、ユーザーはほとんど何もできませんから。ワックスがけも不要だし、タイヤを洗うこともダメ。ましてや添加剤などをエンジン部分にブチ込むなどはもってのほか。じゃあ、クルマで何を遊んだらいいのか。クルマのどこと戯れたらいいのか。福野さんも、そこまではまだ提示できていないような感じで、だから『頂上作戦』以降は、テンション、企画内容ともに長い下降線を描き、やがて雑誌『くるまにあ』の休刊とともに、いったんは中断ということになります。

 『頂上作戦』は「ホラー対談」で始まります。ポルシェ、フェラーリなどの中古車で時々、安い出物がありますが、そういうのって、事故車を前後でつないで2台で1台をつくっちゃう「ニコイチ」の場合が時々あるというんですね。

 スタイリングの話では安いプチフェラーリと高価なセミレーシングカーはミッドシップ、売れ線のロードカーは12気筒のFRというラインアップに戻ってきたというのも納得的な話でした。

 個人的に懐かしかったのはバブル時代を回想した座談会「クルマ・バブル・みんなアホ」。クルマ・バブルはいつ始まったかというと、1987/07/14。ソラリオという新興の自動車屋が西ドイツ(!)の一般ユーザーに納車されたポルシェ959を即日現金買い取りして日本に持ってきて1億2000万円で売ったという。しかし、959は200台限定生産の超実験車。7000km走ったら壊れてパーツもないからそのままというクルマだったそうです。痛快な話ですねw。

 そしてフェラーリF40が発売され、エンツォ・フェラーリも死んだこともあり、フェラーリは中古車までもバカ高値が付いた、と。なにせ新車注文しても何年も待たされるんですから。ぼくが一度だけ発作的にポルシェ911を三和ポルシェで買おうとしたのも、この時期でした。

 日本の自動車メーカーもバブってました。マツダは89/90のカー・オブ・ザ・イヤーをロードスターで絶対獲ると決めて、ロードスター30台を選考委員に長期無料貸し付け作戦を展開したとか、トヨタはセルシオの発表会と試乗会をドイツでやっただけでなく、ひとり120万(!)のセルシオ交響曲(!)の生演奏付きのディナーを評論家120名集めてやったとか。

 ぼくもバブル時代には少ないながらも恩恵を受けました。まったく笑っちゃうようなこともありましたけど、もう1回来ないですかねw

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