『イヌネコにしか心を開けない人たち』
『イヌネコにしか心を開けない人たち』香山リカ、幻冬舎新書
《全国で飼育されているイヌとネコの数は合計で二四〇〇万匹以上。一方、十五歳未満の子どもの数は、二〇〇七年には一七三八万人まで減少している。いまや子どもよりペットの数のほうが多いのだ》(p.172)
いつものスタイルですが、新聞・テレビで話題になっている現代人の"ちょっとヘンかもしれない"という傾向を、軽く批評してみました、というスタイル。ぼくは香山リカさんの書いた本は、わりと読む方なんですが、嫌いな人も少なくないと感じています。それは、けっこうイイところをつかれちゃっていると感じているからじゃないかな、と思っているんですが、どんなもんでしょ。その一方で、精神科医で大学教授の割には、自分の理論を出さないというか印象批評でいいたいことを言っている、と思われているからなのかな、と。
香山リカさんの本はだいたいタイトルがいいですよね。売らんがためというマーケティングを最初に感じるというよりも、素直に「なかなか上手い」ってぼくなんかは思いますけどね。『ぷちナショ』とか。
さて、いろいろ書いてはいるれど、言いたいことは第8章「なぜイヌやネコでなければダメなのか」に集約されている感じ。
《加熱するペットブームの背景にあるのは、「心のゆとり」ではなくてむしろ「心のすきま」なのではないか》(p.166)
同感ですね。病的な感じしますもん。
昔は《ペットはその家庭の子どもの希望で飼われることが多かったのだ。ところが今は、そもそも子どもの数じたいが少ないので、ペットは最初からその家で飼われていることが多い》(p.168)
この後、書かれている先住のペットと、これから生まれてくる子どもが仲良くやっていけるかどうかを心配するという心理は、ちょっと怖い。
《熱狂的なイヌ、ネコ好きの多くは「子どもがゼロかひとり」「子どもがふたり」が分水嶺で、「子どもが三人以上」には「何よりもイヌ、ネコ」という人はほとんどいない》(p.170)
社会学的な統計をみてみたいところですが、とりあえずは納得的です。
《性別や年齢を感じさせないイヌやネコに同化するように遊んだり笑ったりしているうちに、自分から性愛的な要素がどんどん薄れていくのを感じる》(p.174)
これも、納得的かな。
ぼくは極端な環境保護派と動物愛護主義者の人たちは勘弁してほしいというかファシズムに通じる偏狭さを感じると常々思っているんですが、どうもこういう人たちは個人的に自信なさげな雰囲気の人たちが多くて、それは、非難されにくい《揺るぎない善》(p.183)を盾に何か良いことをしていると自己満足に陥って、やがては、環境問題も動物愛護もその根拠は本当のところ論証できないからといって、対立する側を過激に糾弾したいり傷つけたりするようになるんじゃないかな、と思います。
あと10年ぐらいしたら、環境保護と動物愛護みたいなのに凝りかたまった過激派が連合赤軍みたいな事件起したらヤだな、とかふと考えたりして。
第1章 戸惑いのペットブーム
第2章 医者も頼りにするペット
第3章 私のペット偏愛歴
第4章 メロメロ知識人が増える理由
第5章 ペット愛の新しいかたち
第6章 暴走する「動物愛護」
第7章 ペットロスは理性を超えて
第8章 なぜイヌやネコでなければダメなのか
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『日本史の法則』本郷和人(2025.12.07)
- 『となりの史学 戦前の日本と世界』加藤陽子(2025.12.07)
- 『新しい階級社会』橋本健二(2025.12.01)
- 『渤海国の謎』上田雄(2025.12.01)
- 暇と退屈の倫理学』國分功一郎(2025.11.01)


















































![谷垣 禎一, [聞き手]水内 茂幸(産経新聞), [聞き手]豊田 真由美(産経新聞): 一片冰心 谷垣禎一回顧録 (扶桑社BOOKS)](https://m.media-amazon.com/images/I/510i31ZhD4L._SL75_.jpg)











![川手 圭一: 明解 歴史総合 [歴総 706]](https://m.media-amazon.com/images/I/51wJ+QAxpxL._SL75_.jpg)



































































![日本放送協会,NHK出版: NHK 100分 de 名著 アリストテレス『ニコマコス倫理学』 2022年 5月 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51LBo-PwFzL._SL75_.jpg)





















































![日本放送協会,NHK出版: NHK 100分 de 名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』 2020年 12月 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51uDD+IfjML._SL75_.jpg)


































































Comments
香山さんが嫌われんのは、単にメタ言論だからじゃないかな?
メタなのはそれはそれで面白いのはあるんですが、彼女のはなんとなく浅すぎてつまらん印象があります。初期作品しか読んでないんで、今はどうか知らないんですが、個人的には買って後悔した思い出しかないっす。
まぁpataさんが好きってのは判るけどね。笑)
メタってのは読んで世の中に意地悪な気持ちになる系だし。
まぁわたしゃ、動物愛護ファシストや犬猫ファシストはえらく嫌いだけど、逆にこういう言論に対しても「嫌ペット」ファシストの匂いを感じますねぃ。
Posted by: あんとに庵 | March 02, 2008 11:44 PM
なるほどぉ、メタ言論かどうかはよくわからないのですが、なんか小生は妙に香山リカさんとは相性がいいとは思っていたんですよねぇ…
Amazonの書評なんか読んでも「なんでこんなに嫌われるんだろう…」と逆にシンパシー感じたりしてます。
ちなみに、香山リカさんもずっとイヌネコを飼っていて、ペットロスには相当、悩んでスピリチュアル系にも一瞬だけいってしまいましたと書いてありましたw
Posted by: pata | March 03, 2008 06:49 PM
ははは。実は結構ディープな本読んでるpataさんと超軽な香山さんの組み合わせは意外だったんですが、よく考えてみたら、お二人ともプチブルサヨではないですか。笑)
ま、立ち位置が近い人のメタ言論は娯楽としては激しく愉しめますね。あてくしは香山さんは坂本龍一同様、プチ偽善系サヨのにほいを感じて苦手だけど。pataさんはいぢわるな気持ちになるのが好きっぽいし、偽善系ではない事は確かだ。笑)
で、まぁ・・ペットロスにそこまで打撃受けるってのは実は本人が一番危ないペット人だったのか。わたしゃそこまではいかんよ。つーかシューキョーは間に合っとるし。
あてくしが読んでもあまり同意出来なさそうなので(つまり世の中に意地悪な気持ちになれない代わりに著者に対し意地悪になりそうなんで)これは娯楽にはならなさそうっす。
Posted by: あんとに庵 | March 03, 2008 10:28 PM
三島憲一さんの『現代ドイツ 統一後の知的軌跡』の中で、高度成長期の西ドイツは《リベラルかつ適度にレフトであることは、皮肉にも社会的上昇の資格証明ともなっていた》社会であったと書いていましたが、こういったのは日本にも確かにあったと激しく思うんですよね。時代的にも合っているし、小生は嫌う人たちが多い分、よけいに香山リカさんのことを応援してしまうんですよw
Posted by: pata | March 03, 2008 11:19 PM
まぁわたくしは上昇志向が強いプチブル人間はそもそも苦手なんで。貴族であるがトンでも貧乏していたリラダンが嫌っていた振興ブルジョアと、その手のリベラルなふりした実はただのエゴイストなぷちサヨが被るというか。なんで、最近、自分はもしかしたらほんとは共産主義者かもしれない思う。そして新左翼はその手のエゴイストが多い気がする。団塊の世代とかで嫌われてるのはそういう系っすね。
因みにpataさんは嫌われとるんですか?
実存を知らないだけなんじゃ?
pataさんは口先ではぷちブルサヨでエゴイストなふりをよくするけど、実際の行動はそうじゃないからなぁ。
Posted by: あんとに庵 | March 04, 2008 12:44 PM
>因みにpataさんは嫌われとるんですか?
ぼくはフレンドリーな性格で有名ですw
だから、きっと香山さんも実際はフレンドリーな性格なんじゃないか、と…
Posted by: pata | March 04, 2008 10:14 PM