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February 11, 2008

初代松本白鸚二十七回忌追善二月大歌舞伎

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 今月は【昼の部】を見物してきました。「初代松本白鸚二十七回忌追善二月大歌舞伎」。

 松本白鸚というより、いつまでたっても個人的には八代目松本幸四郎であり、最高の由良之助役者です。にしても、十一代目市川團十郎、二代目尾上松緑という大物三兄弟の真ん中というポジションは難しかったのでしょうね。白鸚さんは50年代は新劇に接近し、60年代は松竹を飛び出して東宝に移り、70年代はまた松竹に戻って全盛を誇り、80年代になると名跡を譲って親子三代の襲名披露を行うというような10年単位で大きな節目を自らつくってきたように思います。セルフプロデュースという言葉はなかったのかもしれませんが、大物三兄弟の真ん中、テレビの隆盛など時代の変化にあわせて、新しい世界を切りひらいていくんだという意志が感じられる生涯でした。

 かろうじて70年代の芝居を覚えているのは個人的に大きな財産だと思っていまして、今でも最高の由良之助役者だと思っています。

 二階では懐かしい写真が数多く飾られていましたが、お亡くなりになる前年の1981年10月に演じた七段目の由良之助の写真なんか本当に好きだな。一力茶屋で遊び呆けて、着物は派手な紫。羽織は片袖はずしにして頭には飾り紙をつけ、扇子は首に刺している。そんな様子ながらも討ち入りへの覚悟を決めているという風情がにじみ出ている。そんな様子が一枚の写真からでもうかがえます(『関の扉』の写真では、相手役の歌右衛門さんがノリノリで演じているのが写真でもわかって、ああ歌右衛門さんは八代目幸四郎を本当に好きだったんだな、ということがわかります)。

 今回の七段目では染五郎さんが「かっこ悪いんたけどかっこいい下級武士」を演じるのがとてつもなく上手くなってきたな、ということに感動。仮名手本忠臣蔵七段目の寺岡平右衛門、よかったです。

 これって当り役になるんじゃないですかね。初代白鸚も得意としていたといいますし、今の九代目よりも、余裕があるというか、遊んでいるというか、大きな雰囲気を将来は持つんじゃないかと期待しちゃいます。

 近松の『女殺油地獄』などでもお吉を不条理になぶり殺しにする与兵衛を刹那的に演じていたのがよかったのですが、あまり深く考えもしないで行動に出てしまう若者を演じさせたら今の染五郎が一番なのかもしれません。こうした役ばかりが当たりになるのは将来の幹部俳優というか人間国宝となることを宿命づけられている高麗屋の若旦那にとってどうかな、とは思いますが、少なくとも時代を反映しているんじゃないかと感じます。いつまでたっても、忠義のために子殺しをする熊谷陣屋の直実や菅原伝授手習鑑の寺子屋の松王丸なんかを偉そうに幹部俳優が演じていてるんじゃ、ちっとも面白くありませんもの。

 なんかまとまりのない感想ですが、二十七回忌追善にあわせて、孫の染五郎に期待します、という感じで…。

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