『これで最後の巻』山口瞳
『これで最後の巻──「男性自身」1980-1986』山口瞳、河出書房新社
『週刊新潮』の「男性自身」は1963年~95年にかけて1614回連載されましたが、そのうち単行本に収められなかった77篇のコラムをまとめた2冊目の本。最初が『「男性自身」1963-1980 最後から二冊目の巻』、そして1980-1986の分がこれ。大ファンだったので、一冊目の『最後から二冊目の巻』は逆上して読みましたが、これは05年1月12日の奥付なのに、2年間も放っておいてしまいました。うーん、本当に集中力、落ちてます。
Amazonをさすらっているうちに、ハッと思い出して購入。忙しいこの時期なので、大好きなエッセイに逃げ込むような感じで読みました。
なんで、単行本に収められなかったのかな…と考えるに、1冊目を読んだ限りでは下ネタ、野球、競馬の話が多く、明らかにネタに詰まったような回は単行本化しなかったのかな、と思ったのですが、2作目に関しては、野球、競馬の話とともに、「あれ、どっかで読んだことあるような…」みたいなのもありました。古今亭志ん生さんに「大津絵」を唄ってもらったというネタは何回もいろんな場面で書いているのですが、そんな既視感があるような回は除いたのかな…と思ったりして。後は、個人を非難するような回は収録しなかったのかな、と。
何もない。目標がない。そのことに私も恐怖する。
「そうですね」
と、私も考える。私が十六歳であったころ、昭和十七、八年のことであるが、私も、この少女と同じように考え、ただただ疲れ果てていた。そう思っていた。戦争末期で、希望も楽しみも何もなかった。しかし、そんな風に考える自分を、もっと痛めつけてやりたいという考えだけはあったような気がする。
あたりの文章の呼吸は名人芸だと思いますが…。
『草競馬流浪記』を書いていたあたりでしょうか《私は、いま、愛するものの最期を自分の目で見届けようとする気持ちになっている》(p.88)なんてところも痛切。
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