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October 19, 2007

『歴史』ヘロドトス

『歴史(下)』ヘロドトス、松平千秋、岩波新書

 もうですね、あんまり面白そうな新刊本がないもんですから、これです。先日『300』をBlu-rayで観たばっかりなので、テルモピュライの戦いを描いている巻七の部分を読み直してみました。

 えらく久々だったので、初めて読むようなものでしたが、レオニダスを描いているというよりも、ペルシア王クセルクセスが主人公ですね、ヘロドトスの描き方は。まず、クセルクセスが兵力を集めてギリシアへ進出するまでの準備が長い。しかも、夢判断で進軍を思いと止めさせようとする部下に対して《アルタパノスよ。そなたの申すことは一々もっともではあるが、そのようになにもかも恐れたり、また起こるかも知れぬことごとく考量し尽くすことは止めるがよい。その都度起こる事柄に対し、あらゆる起こり得ることを一々綿密に考慮しようとすれば、結局何もできず終いになろう》(p.44)というあたりは、怪物というよりも大人物として描いていますよね。

 さらに、例えばギリシア側のスパイを殺すかどうか、という判断に際しても、《彼らが無事にギリシアへ帰れば、ギリシア側はこちらの戦力を聞き知り、現在進行中の遠征を待つまでもなく彼らのいわゆる「自由」を放棄してくるであろう》(p.94)と生きて返したことや、発見したギリシア側の穀物船団を襲おうと進言した部下に対して《われらとて、彼らと同じ処へゆくわけではないか。しかも穀物をはじめさまざまな物資を携えてな。われわれのために穀物を運んでくれる彼らに、一体何の罪があるというのじゃ》と逃がす場面なんかも、クセルクセスへの賛辞という感じです。

 これに対して、『歴史』全体を通してですが、テミストクレスに対する評価が低いといいますか、そっけない。サラミスの海戦においてペルシャ海軍を打ち破ることになったラウレイオン鉱山の銀を使っての三段櫂船200隻の建造に関しても《時宜にかなった説を唱えて、大勢を決した》(p.91)ぐらいですもんね。ペルシア艦隊を襲った「ヘレスポントス風」(p.121)などの記述も懐かしかったです。

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