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August 29, 2007

『もし部下がうつになったら』

Utsu

『もし部下がうつになったら』松崎一葉、ディスカヴァー・トゥエンティワン

 《7人に1人は「うつ」になるといわれる時代ですが、うつになった社員にどう対応するべきかという知識はまだ企業に浸透しておらず、部下から診断書を見せられて困惑する管理職や人事担当者が大多数です》という表4の内容紹介が分かりやすいんでしょうね。それと題名の『もし部下がうつになったら』もストレートに訴えかけるものがあるためか、けっこうベストセラーになっているようです。

 もう一つ、この本が売れている理由は《うつの場合、業務を軽減する期間の目途は約二ヶ月》(p.40)とハッキリ数字をあげているところじゃないでしょうか(あまりこうした実用精神医学の本は読んでないのですが、他の本でもこんな風に言い切っちゃっているんですかね?)。

 題名からしても"上司目線"が気にかかります。上記の引用も、どんな文脈で語られているのかというと、うつで休む人間が出ることによって仕事がキツクなる同僚たちに向かって上司が《「二ヶ月は軽減業務をするけれども、その後は元に戻れるから、その間だけみんなも協力してくれ」というふうに目途を示すことが大事なのです》と続きます。

 そして一般的な復帰スケジュールとして2週間ずつの4段階に分けた8週間の労働時間と業務内容のプランも示されています(p.67)。こんなとろこも企業ユースでは使いやすいんでしょうね。著者は《この八週間を各段階一週間ずつ延ばすと十二週間のプログラムになります》(p.66)と書いていますが、逆に、ここまで書かれると「3ヵ月でも復帰できない自分はどうなんだ…」という不安をかき立てられる人もいるんじゃないですかね。

 驚くことに著者は《「仕事は減らせない。人も増やせない。でもメンタルヘルス不全を減らしてほしい」という実現不可能とも思える命題を抱える日本の企業に、解決の糸口も提供していきたいと思います》(p.12)とも書いています。うーむ…。

 基本的に著者のようなクリアカットすぎる議論は素人目からも怖いなと思いますが、しかし、よく考えると、こうした本が求められる理由の方が怖い。確かに鬱病に対する企業や社会、家庭の認識は広がっていると思いますし、共同体における許容度も高まってきているとは思います。しかし、こうした本が売れているということは、もちろん証明などはできない社会的無意識に属する問題なのでしょうが、そろそろ、そうした許容度も、特に職場などでは上限に近づいているのかもしれない、というようなことを考えさせられました。

 147頁で1050円という単価設定も企業向けということなんでしょうね。

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