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August 04, 2007

『打ちのめされるようなすごい本』

Uchinomesareru_yonehara

『打ちのめされるようなすごい本』米原万里、文藝春秋

 週刊誌はほとんど読まないので、週刊文春の「私の読書日記」もほとんどチェックはしていませんでした。米原さんが亡くなった後、一気にその書評を読めたことは、大愚は大賢に通じるといいますか、ありがたいのですが、一週遅れのトップランナーにはからずもなってしまったといいますか、複雑な気持です。

 お前がたいした本を読んでいないだけだ、といわれそうですが、ラッキーだったのは、あまり読んだ本がダブっていないこと(古典的な名作を除けば著者が絶賛していた『ディナモ・フットボール―国家権力とロシア・東欧のサッカー』宇都宮徹壱、みすず書房と『老人ホームの錬金術』ティモシー・ダイアモンド (著),工藤政司(訳)、法政大学出版局ぐらい)。

 日本人は読書会といいますと、同じ本を読んで感想を語り合うみたいなことをやりますが、あれって非効率的ですよね。テーマを決め、それぞれ同じジャンルで違った本を読んで、その内容を報告しあう方がよっぽどタメになります。なんか、不遜な云い方ですが、最高の読み手の方に、あまり知らないジャンルの面白本をじっくり解説してもらったようで、個人的な知識の地平が一気に広がったように感じます。かといって、実際に取り寄せて読もうと思った本は意外と少ないんです。書評で読んだ気にさせてもらったというか、重要なエキスだけ教えてもらった、みたいな。
 
 そんな中で印象に残ったのを羅列しますと。

『記憶力を強くする』池谷祐二、ブルーバックス
『赤いポスト白書 阪神・淡路大震災』梅原光彦他、白川書院新社
『「スターリン言語学」精読』田中克彦、岩波現代文庫
『プロになるための文章術-なぜ没なのか』ノア・リュークマン(著), 池央耿 (訳) 、河出書房新社
『猪谷六号雄-人間の原型・合理主義自然人』 高田宏、平凡社ライブラリー
『笹まくら』丸谷才一、新潮文庫
『文学部をめぐる病い-教養主義・ナチス・旧制高校』高田里惠子、ちくま文庫
『革命の堕天使たち-回想のスターリン時代』アイノ・クーシネン(著)、坂内知子(訳) 、平凡社
『ベリヤ-スターリンに仕えた死刑執行人 ある出世主義者の末路』ヴラジーミル・F・ネクラーソフ (編),森田明(訳) 、エディションq
『きみの出番だ、同志モーゼル-詩人マヤコフスキー変死の謎』ワレンチン・スコリャーチン(著), 小笠原豊樹(訳)、草思社
『南京戦 閉ざされた記憶を尋ねて-元兵士102人の証言』松岡環、社会評論社
『生命の形式-同一性と時間』池田清彦、哲学書房
『ロシア建築案内』リシャット・ムラギルディン、TOTO出版
『知られざるスターリン』ジョレス・メドヴェージェフ、ロイ・メドヴェージェフ (著), 久保英雄(訳)、現代思潮新社
『言語学フォーエバー』千野栄一、大修館書店
『ソクラテスの最後の晩餐-古代ギリシャ細見』塚田孝雄、ちくまプリマーブックス
『愛国少年漂流記』宮脇修、新潮文庫
『健康帝国ナチス』ロバート・N・プロクター(著),宮崎尊(訳)、草思社
『誓い-チェチェンの戦火を生きたひとりの医師の物語』ハッサン・バイエフ、アスペクト
『凶犯』『十面埋伏』張平(著),荒岡啓子(訳)、新風舎
『赤いツァーリ 封印された生涯〈上〉〈下〉 』エドワード・ラジンスキー(著),工藤精一郎(訳)、日本放送出版協会
『バルカンをフィルードワークする ことばを訪ねて』中島由美、大修館書店
『偽りの同盟-チャーチルとスターリンの間』秋野豊、勁草書房
『銭湯の女神』星野博美、文藝春秋
『指紋は知っていた』チャンダック・セングープタ(著),平石律子(訳)、文春文庫
『潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影-躍進するIT企業・階層化する労働現場』横田増生、情報センター出版局

 こう見ていくと小生が「この情報は面白い」と思った本は翻訳書が多いですね。特にロシアものなんか読みませんからねぇ。

 あと、ネルー好きの親類筋の女性が、なんかの式典に招かれたんだけど、不可触賤民をステッキをステッキで振り上げて追っ払ったネルーを見て百年の恋が冷めたみたいな話や(p.29)、バチカンがカトリックの多いスロヴェニアとクロアチアを独立させるためにユーゴ内戦を画策したというような話(p.173)、日本では病院の霊安室から火葬場へ直行する「直葬」など葬儀の簡略化傾向が顕著になりつつあるというような話(p.265)も面白かったです。

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