『伝説のプラモ屋 田宮模型をつくった人々』
『伝説のプラモ屋 田宮模型をつくった人々』田宮俊作、文春文庫
夏休みらしい本をひとつ。
それは『田宮模型の仕事』の続編である『田宮模型をつくった人々』を再構成して大幅に加筆した文庫版の『伝説のプラモ屋 田宮模型をつくった人々』。著者はミスター田宮、田宮俊作社長。『田宮模型の仕事』の文庫化の際にも、同じように大幅に加筆されていて、単行本を買った人間でもまた読みたくなります。良心的。
日本を絨毯爆撃したB29など「自分の目の黒いうちは自分が嫌だと思う飛行機の模型は絶対つくらない」と宣言するミスター田宮ですが、たぶん、今回、加筆されたと思うところでも、太平洋戦争の思い出を語っています。静岡駅近くの実家で兵員輸送の列車が止った時、「これに水を入れてください」と差し出された水筒が竹の筒だったというのを見て《(竹ではこの戦争に勝てない…)とこの時、私は実感した》(p.17)というんですね。ふーん、竹の筒をつかっていたんですか…アカンわな。
マブチモーターが世界一のメーカーになったのは《コイルを巻いて磁場をつくるモーターではなく、初めから磁場をもっている磁石をつくって動かす》(p.93)フェライトモーターへの転換だったというのも、なるほどな、と。
MM(ミニタリー・ミニチュア)シリーズの兵士のフィギュアは、人間の1/7の寸法で原型をつくってもらい、それを立体縮小彫刻機のパンタグラフで倣い、1/5に縮小すると1/35の人間の金型ができる(p.170)というような話もうれしいかぎり。
「1/48 フェアリー ソードフィッシュ MK.II」とか「1/32 零戦52型」とかつくってみたいモデルはあるんですがね…。
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Comments
フェアリー ソードフィッシュといえば
同盟国ドイツ戦艦ビスマルク撃沈に一役買った。
MK.Iだが.........。
Posted by: 小杉 | August 11, 2007 03:57 AM
あ、Mk.Iも出ているんですねぇ…
いま調べてみたらMk.Iはクリアーモデルもあるんすねぇ…
Posted by: pata | August 11, 2007 06:46 AM