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July 06, 2007

『じょっぱり魂』

Joppari_tamashii

『じょっぱり魂 “団塊の名将”齋藤重信と盛岡商業サッカー部全国制覇への軌跡』吉沢康一、日刊スポーツ出版社

 盛岡商業サッカー部が第85回全国高校サッカー選手権大会を制してから、もう半年以上にたってしまうのですから、季節が過ぎるのは速いもんです。最近は駒大苫小牧が甲子園で優勝したり、温暖化の影響もあるのかもしれませんが、冬場の練習が厳しい北の学校が野外スポーツでも実績を残すようになりました。

 しかし、もちろん、温暖化や屋内練習施設の充実などの要素だけで勝てるわけはありません。そこには、スポーツにかける情熱をもった指導者が必要なんですな。それが盛岡商業サッカー部の場合は齋藤重信監督である、と。

 今年の選手権では読売的な〝スポーツの背景にある物語の過剰なまでのクローズアップ〟が成功したこともあって、咽頭癌のために声帯を半分取ってまで指導を続け、しかも大会直前に心筋梗塞で倒れたという齋藤監督をめぐる話は脚光を浴びました。しかし、サッカーを少し囓ったことのある人間ならば必ずしもサッカーが盛んではなかった東北で遠野農業(現遠野緑峰)、盛岡商業、大船渡そして再び盛岡商業と一貫して指導を続け、東北出身で初のワールドカップ出場者となった小笠原満男も育てた、という〝齋藤重信物語〟はあまりにも有名です。

 なにせサッカー部の部員たちを自宅に下宿させたり、単身赴任時代には食事や弁当までつくって指導にあたっていたそうですから。しかも、そうした話が過剰な美談としては伝わってこないところが人徳というか、参議院に立候補しちゃうような人とは違った爽やかな感じを受けるところです。

 でも、順天堂大学を出た後、高校教員になったのは《「長くサッカーを続けるため。当時は教員が一番長くプレーできたから」》という理由だったのは知らなかったな(p.117)。

 高校サッカーの指導者の目標は冬の国立の制覇なのですが、選手権に出場できない場合には、そうした高校が御殿場に集まって行われる〝裏選手権〟で選手を鍛えるため、出ても出なくても正月は返上だそうです。移動の途中では、かつての教え子たちが指導者となった高校との練習試合をこなし、そうした高校の合宿所で寝泊まりしながら強豪校との練習試合で鍛えまくる…という厳しいルーティンもこの本を読むとよくわかります。そして、そうした毎年の積み重ねが並大抵のことではないということも。

 あと、Jヴィレッジが強風で悩まされる場所だということは知りませんでしたね(p.240)。だからオシム監督は嫌うんでしょうか。また、五本指のソックスがサッカーにいい、というのも知りませんでした。さっそく、草野球と草サッカーで試してみようと思います。

 とにかく、思ったよりも良かったかな、という感じの本。

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